コラム

思い込みで損をしないために

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、思い込みで損をしないために、という題で書いてみたい、と思います。

人間、起きている出来事を正しく理解することは難しく、誰しも、経験知を頼りに、行動したり、決断したりすることがあります。
合っていることもあれば、間違っていることもあります。
自分もこの罠に嵌らないように、気を付けて生きるようにはしていますが、人間、誰しも、嬉しかったこと、悲しかったこと等、自身の経験したことが、人生の決断、行動を決める際に、大きく影響してしまうことは否めない、と思うのです。

今、目の前に起きている問題解決のために、経験したことのある「パターン」を頭の中で探し、「たぶんこのパターンだ。」と決めて、これから起きると考えられる出来事を予測したりもします。

当たっていることもあれば、当たらないこともあり、難しい問題です。

そんな人間の傾向から、障害年金の手続きの中で、これは知っておいて欲しいな、と思うことを紹介します。

「社労士全員=障害年金のプロ?」

「国家試験に合格し、社会保険労務士を名乗っているのであれば、どの人もそれほど大きな差はないのだろう。」そんな風に思っている方も多いと思います。
私も、実際、社会保険労務士として仕事をし、色々な方に会うまで、そう思っていました。しかし、現実問題、どの方も、色々なバックボーンを持って、その後、社会保険労務士試験を受け、社会保険労務士になり、仕事をしている関係上、社会保険労務士になる前の職歴や経験、また、社会保険労務士として研鑽を積んでいく過程で、得意とする分野と不得意とする分野が出てしまい、社会保険労務士試験によって担保された一定の知識以上の知識、問題解決能力等は、人それぞれ、全く違う、と言っても過言ではない状況が生まれています。
そして、残念ながら、障害年金を専門に扱っている社会保険労務士は多くありません。
障害年金の請求に詳しい社会保険労務士は、全国でも僅か、となっています。

これは、障害年金の手続きが複雑で、労務管理や給与計算等の関係で、企業の顧問をされている多くの社会保険労務士の方が、障害年金の手続きまで手が回らない、ということが原因ではないか、と思うのです。また、経営者とお話しすることはできても、ご病気の方とお話しすることに慣れていない方もいます。

障害年金の仕事は極めて、ニッチな分野です。

「年金事務所の担当者=障害年金に皆、詳しい?」

年金事務所の窓口の方は、私もよく接する機会があり、皆様、本当に良い方ばかりで、真面目に仕事に取り組まれ、少しでも目の前の方のお役に立てるように動かれています。
そして、障害年金のことについては、年金事務所で相談はできますし、請求する要件を満たしている方が、必要書類を揃えていれば、受付してくれます。
ただ、年金事務所の窓口の担当の方は、審査の担当の方ではありません。
全国、津々浦々にあり、障害年金の書類については、受付するに足るものか、どうか、という一点で書類が揃っているか、確認をしており、「目の前の方の障害年金の受給権が発生するか、どうか」という視点で、書類の確認はしていません。
これは、何も年金事務所の窓口の方が悪いのではなく、まず、前提として、受付するに足る書類か、どうか、という仕事を受け持っているからであり、審査を担当している訳でもないのに、障害年金の受給権が発生するか、どうか、という点に言及できるはずがなく、しっかりと、書類受付後に、
「障害の程度は、審査の結果により年金に該当しない場合があります。」
と説明をすることが仕事であるからです。
ある意味、目の前の方の障害年金の受給権が発生しても、不支給決定であろうとも、そこは、中立の立場で、動くことが年金事務所の窓口担当者に求められている姿勢であり、逆に、審査を担当している訳でもないのに、結果の見通しまで話しているとすれば、何をしているのだ、ということになります。
全国一律に、迅速、適正に受付をする、という仕事を年金事務所の窓口の方は、行っており、そこに、結果を左右するような判断があってはならないのです。

「自分で手続きを終わらせてから、結果が不安になって、慌てて問い合わせ。」

先に、年金事務所では、書類受付後に、
「障害の程度は、審査の結果により年金に該当しない場合があります。」と説明があることを書きましたが、お客様の中では、
「これだけ重たいのだから、絶対に等級に該当している!」と信じて手続きを進め、この説明を受けた後、もしくは、実際に不支給決定処分の通知を受けた後に、お問い合わせいただくケースが良くあります。
提出済みの資料の写しを取り寄せて、眺めてみると、随所に「何故、もっと早く問い合わせしてくれなかったのだろう。」と思う書類の箇所を見つけてしまいます。

障害年金の手続きには、資料の整理から提出まで順番があり、障害年金請求手続きを専門にしている社会保険労務士に依頼してしまえば、必要に応じて資料を取得し、主治医の先生が診断書を作成する際の参考資料が揃えられます。請求書や病歴・就労状況等申立書もミスなくポイントを押さえて作成します。診断書や病歴・就労状況等申立書は、審査結果を左右する書類となりますので、手続きを始める前に、お問い合わせいただき、準備を進めていくことがベストです。
社会保険諸法令全体から答えを出して動いていきますので、他の給付との関係も考慮しながら、最適解に落ち着かせることができます。

「全て書類で審査するもの。」

障害年金の請求は、障害の状態として、手続きを始めるまで、馴染みが無く、熟知している人が少ない制度の一つですが、いざ、手続きをする段階においては、「知りません。」「分かりませんでした。」で済むことはなく、請求する権利の有無や、受給権発生に至るか、どうかの審査まで、法令に則り、事務的に、書類上で、粛々と進んでいきます。

たった1文字間違えて書いただけで、書類の返戻を受けたこともあり、私も、社会保険労務士として、この制度に関わってから、ここまで事務的なのか、と驚くほどでしたが、厳正、中立に手続きが行われていることは、「社会保険」という仕組みが、正常に働いていることを意味しており、良いことなのかな、と、今は思っています。

「精神の障害年金を請求するのはちょっと。。」

精神のご病気で精神科、心療内科への通院があり、また、精神以外のご病気の治療もされている方の中には、

「障害年金の請求については、精神以外の病気で請求したい。」という意向で問い合わせをいただくこともあります。

ご病状を伺っていると、精神の分野で障害年金の請求をした方が、受給権発生に見込みがあるのですが、「精神の障害年金を請求するのはちょっと。。」という回答で、受任が難しくなるケースがあります。

「障害等級に該当する可能性があるご病気として、精神の分野の方で手続きをしてみませんか?」と伝えても、それを避けるために努力してきた、と言われてしまうと、もう何も言えません。

実際問題、精神の分野で、障害年金を請求していることも、受給していることも、申告しなければ誰にも関知されませんが、この思い込みにより、相当程度、経済的な危機を迎える状況でなければ、請求手続きが進まないことが多く、時間だけが過ぎ、ゆっくりすることもできない状況となると、結果的に、障害年金の請求もできなくなることがあります。(

数ある障害の中の一つ、として、捉えていただき、精神のご病気でも、手続きは進めていく方が良いと思うのです。

(あまり、急ぎ過ぎて、事務錯誤を起こしてもいけませんが、障害年金には「支分権の時効」という考え方もあり、時間が過ぎれば、過ぎるほど、一生涯で得られたはずの障害年金が減ってしまう、という現実もあります。)

「お体を守りながらの、お体の状態に合った障害年金の受給権発生」

障害年金の手続きは、色々な情報が入り、本当に重要な「お体を守りながらの、お体の状態に合った障害年金の受給権発生」という目標が見えなくなってしまうことがあります。

人生に1回、あるか、ないかの手続きで、精神的な不調の中、正確な判断を下して、資料を収集したり、書類を作成することは容易ではありません。

また、周囲で、皆様にアドバイスをしている方は、皆様のためと思い、懸命にメッセージを発しているかもしれませんが、そのアドバイスに基づいてとった行動の責任は皆様に帰属します。

ほんの少し柔軟に考えるだけで、人生は大きく変わる可能性を秘めていますので、何かお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

健康保険の被扶養者の方の場合、扶養されている方の勤務先で加入している健康保険の方で、被扶養者の方がどの程度、収入があるか、確認する場面がありますが、障害年金を収入として申告する必要はあっても、精神の分野であることまで、申告する必要はありません。

障害年金の不支給決定から学ぶこと(既にご自身で手続きを進めている方へ)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、「障害年金の不支給決定から学ぶこと(既にご自身で手続きを進めている方へ)」という題で書いてみたい、と思います。

「目安」のとおりにはならない

お問い合わせの中で

精神の障害に係る等級判定ガイドライン』に掲載されている障害等級の目安では2級になる診断書を主治医に作成いただいたのに、不支給決定でした。不服申し立てもしたのに、認められませんでした。どうすれば良いですか?

というものがあります。

すぐ、「現在までの資料の写しを当事務所に郵送ください。対応を検討します。」と伝え、届いた資料の「ある部分」を、そのまま読み上げる形で、

「『本件診断書によれば、…と評価されていることから、これらを前記ガイドライン通知に照らすと、日常生活能力の平均判定は「□.□」、日常生活能力の程度は「(△)」となり、障害等級の目安は「2級」となる。
しかしながら、…前述のガイドライン通知によれば、総合評価は、診断書の記載内容に基づき、個別の事案に即して総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあり得るが、その場合は、合理的かつ明確な理由をもって判定するとされているところ、請求人は…2級の程度に該当すると認めることは困難であると言わざるを得ない。
と書いてありますね。」

と手続きの結果を整理し、その上で、

「現状、ご病状や状況が変わっていることがあれば、対応できますが、どうですか?」と、ご返答することがあります。

この『 』は、不服申し立てに対して、社会保険審査官から送られてきた決定書のほぼ最後に出てくる文章で、精神の障害に係る等級判定ガイドラインの〔表1〕障害等級の目安≪留意事項≫を引用して、不支給決定であることに問題が無かった理由を書いたものです。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(5ページ)をよく見ると〔表1〕障害等級の目安≪留意事項≫という部分があり、ここには「障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となり得ることに留意して用いること。」と確かに記載されています。

「目安」のとおりにはならないのです。

「診断書等に記載される他の要素」こそ

障害年金の診断書には自立支援医療制度(精神通院)や精神障害者保健福祉手帳の申請時に使用する診断書内容よりも詳細に、治療経過、発育養育歴、職歴、療法や服薬の内容、福祉サービスの利用状況等A3両面に亘って記載されます。また、病歴・就労状況等申立書では、病歴や就労状況等について、ポイントを押さえて、ミスなく作成することが求められます。また、書類一式を提出した後に、医療照会が行われることもあります。

この手続きにおいては、初めから結論ありき、で動くことなどできず、実務上は手続きを進めながら、最適解に落ち着く、という流れを辿ります。

尚、「とにかく、辛い状況(特に経済的なこと)を沢山伝えたい。」

そんなことをお考えになっていたのでしょうか?写しをいただいた提出済みの病歴・就労状況等申立書には、ご病気に関係の無い内容がびっしり書いてあることを良く見ます。

お気持ちは理解できるのですが、日本年金機構では「ご病気によって、障害等級に該当するか、どうか」を審査し、また、「ご病気によって、どのような経過を辿られているか」を確認しています。

保険料を納めていることになるか、どうか」という審査が済めば、後は、「障害等級に該当しているか、どうか」という部分が問われ、仮に豪邸に住んでいても、1億円の資産があろうとも、関係が無いことです。

経済的な困窮に焦点を当てるのであれば、それは、「生活保護」の分野となります。

「分野ごとに基準が異なる」ということ

この「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の中では、〔表2〕総合評価の際に考慮すべき要素の例が、「共通事項」「精神障害」「知的障害」「発達障害」に分けて記載され、更に、「障害認定基準 第1章 第8節/精神の障害」では、認定要領が「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に区分して、記載されています。

これは、精神の障害は多くの分野に区分され、各分野ごとに、異なる基準で審査が行われていることを意味します。

「目安」は参考であり、ご病気、ご病状ごとに、判断が行われているのです。

「思わぬ部分で不支給となったり、受給権発生に至ったりする」ということも

色々な方の手続きをさせていただき、

「この方なら、大丈夫。」と判断していた方でも、「この部分は認められないのか…」となったこともありました。

「チャレンジの要素は大きいですが、一緒に頑張りましょう。」とお伝えした方でも、「え!この部分が認められるの?!」ということもありました。

もうすぐ開業して6年目になりますが、障害年金請求代行だけを仕事として件数を重ねておりますので、ある程度の見通しは立てられます。

それでも「絶対」は無い。それが、障害年金請求手続きなのです。

お客様お一人お一人の人生がかかっていますので、手続きに着手する際は、慎重になります。

しかし、可能性が見出せる方を断ることはしていません。

大丈夫、と判断できる方も、死角が無いか、常に気を付けて、手続きを進めています。

「絶対」は無い障害年金請求手続きを、一人でも多くの方が、少しでも安心して過ごせるよう、祈念しております。

何かございましたらご連絡ください。

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障害年金請求の誤解

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、障害年金請求の誤解、という題で書いてみたい、と思います。

急激と緩慢

皆様は、生命保険や自動車保険、火災保険等には加入しておられるでしょうか?

誰かがお亡くなりになられた時、保険金が支払われる生命保険。
誰かと事故を起こしてしまった時、保険金が支払われる自動車保険。
誰かの建物が燃えてしまったりした時、保険金が支払われる火災保険。

どれも大変な出来事で、どの方にとっても、とても辛く、急激な変化が起きてしまう、と言っても、過言ではなく、いかなる状況であれ、お金は必要になり、その経済的な「リスク」に備えるため、保険会社、共済団体で色々な商品、仕組みが準備されています。
この商品や仕組みは、ある意味、人間が生み出した大いなる発明であり、万が一の事態に備える一つの知恵です。

ただ、保険金が支払われる前に、しておかなければならないことがあります。

それは、「その大きな出来事の前に、保険料を支払っていること」です。
保険料を支払っていなければ、仮にその方が亡くなっても、誰かと事故が起きても、建物が燃えても、保険金が支払われることはありません。

障害年金の性質

社会保険では、障害等級に該当する状態になった時、障害年金が支払われます。

障害年金が支払われる前提は、何でしょうか?

それは、「保険料の未納期間が規定以上でないこと」です。
保険料の未納期間が規定以上あれば、障害等級に該当する状態になっても、障害年金が支払われることはありません。

障害年金では、

  • 20歳の誕生日の前日のある月から、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(初診日)がある月の前の前の月までの未納期間がどの程度あるか、
  • 障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(初診日)がある月の前の前の月までの直近1年間に未納期間がどの程度あるか、

を確認します。(20歳の誕生日の前日より前に初診日がある方等は除きます。)

誰かがお亡くなりになった、誰かと事故に遭った、誰かの建物が燃えてしまったと、どれも大変な出来事で、どの方にとっても、とても辛く、急激な変化が起きてしまうような時の前までの期間を基準として、未納期間がどの程度あるか、判断しているのではなく、一部の例外を除き、原則、1年6か月を経てから障害等級に該当する状態か審査するまでの緩慢な変化の最初の日がある月の前の前の月までの期間を基準として、未納期間がどの程度あるか、判断しています。

生命保険や自動車保険、火災保険等と異なり、障害年金では、保険料の関係について、基準としている日の考え方が全く異なります。

共同連帯と保険

障害年金は、基本的には社会保険、という「保険」としての分野の一部ですが、これも、誤解を生じやすい部分です。

国民年金法
第一章 総則
(国民年金制度の目的)
第一条 国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。

厚生年金保険法
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

条文によれば、あくまでも、国民年金法は、国民の共同連帯によって、健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とし、厚生年金保険法では、保険給付により、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としています。

未納期間とならないように

保険給付ではなく、国民の共同連帯、という違いとして捉えれば、例えば、国民年金法では、保険料の負担無く、免除の申請により、未納としない規定や、20歳の誕生日の前日より前に、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(初診日)がある方が、それを証明できれば、その後、障害等級に該当する状態になった時、障害年金は支払われることが規定されています。

ただ、この、「保険料の負担無く、給付される場合がある」という側面により、何となく、「障害の状態になった時、国は何とかしてくれるのだろう。」と勘違いされる方もおり、そこに「保険料の未納が問題になることがある」という事態への危機感はなく、さらに、

「保険料納付は老後の備え(だけ)。」
「年金制度がどうなるかもわからない。」
「障害年金は自分とは関係が無い。」等

色々な独自の理由を編み出し、保険料の納付や免除申請への関心、意識が薄くなっている方が多いような気がします。

実務をしていて、意外にも「20歳の誕生日の前日を迎えられて、その数か月後の初診日」というケースが多く、この場合、たった数か月間の間に、どの程度、未納があるか、という大きな問題に衝突することになります。

国民年金法は確かに、「国民年金保険法」ではありませんが、やはり社会「保険」の一部であることを再認識して、保険料の納付や免除を意識する必要があります。

障害等級に該当しないことがある

年金事務所では、公的制度の中立性に基づき、障害年金の請求方法について、丁寧に説明してくれます。

お客様の中でも
「遡及請求できる、と年金事務所の担当者から言われた。」
「請求する権利があることは年金事務所で確認した。」等
当事務所に手続きをご依頼いただく前に、色々な確認をされている方が多くいます。

ただ、ここで「障害年金を請求できる。」と伝えられていることを「障害年金を受給できる。」と頭の中で変換されてしまう方が多いのも、また事実です。

こちらは、障害年金を請求した後、年金事務所より交付される「受付控え」というものです。

提出後、必ず、「障害の程度は、審査の結果により年金に該当しない場合があります。」と伝えられます。

ここで、不安になられているのだと思いますが、「年金事務所に書類を提出したのですが、障害年金が受給されるか、不安です。」というお問い合わせを受けることがあります。

請求できることと、受給権が発生することは、全く別であり、受給権が発生するか、否かは、年金事務所の担当者は案内していません。

当事務所は、障害年金業務に特化した社会保険労務士事務所です。
何かございましたらご連絡ください。

無知や誤解は悲劇を生みます。少しでも、悲劇が少なくなる様、願って止みません。

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参考

国民年金法

第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。
2 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者(同日において被保険者でなかつた者に限る。)が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、六十五歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に前項の障害基礎年金の支給を請求することができる。
3 第三十条の二第三項の規定は、前項の場合に準用する。

(障害基礎年金等の支給要件の特例)
第二十条 初診日が令和八年四月一日前にある傷病による障害について国民年金法第三十条第一項ただし書(同法第三十条の二第二項、同法第三十条の三第二項、同法第三十四条第五項及び同法第三十六条第三項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合においては、同法第三十条第一項ただし書中「三分の二に満たないとき」とあるのは、「三分の二に満たないとき(当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの一年間(当該初診日において被保険者でなかつた者については、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの一年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該障害に係る者が当該初診日において六十五歳以上であるときは、この限りでない。

厚生年金保険法

第三節 障害厚生年金及び障害手当金
(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

第六十四条 初診日が令和八年四月一日前にある傷病による障害について厚生年金保険法第四十七条第一項ただし書(同法第四十七条の二第二項、第四十七条の三第二項、第五十二条第五項、第五十四条第三項及び第五十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合においては、同法第四十七条第一項ただし書中「三分の二に満たないとき」とあるのは、「三分の二に満たないとき(当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの一年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該障害に係る者が当該初診日において六十五歳以上であるときは、この限りでない。

うつ病や双極性感情障害等の初診日が明確にならないときに

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、うつ病や双極性感情障害等の初診日が明確にならないときに、という題で書いてみたい、と思います。

請求する障害年金の種類も障害認定日も明確にならない

以前、初診日が国民年金加入期間中にあるか、厚生年金保険加入期間中にあるか、で請求する障害年金の種類が異なる、という話をしました。

これは、初診日に、どの制度に加入していたか、という部分が問われるもので、初診日が20歳の誕生日の前日より前で、厚生年金保険に加入していない期間にある場合は、年金保険料を負担しなくても良い未加入の状態であるため、年金保険料の負担無しで請求できる「20歳前の傷病による障害基礎年金の請求」となり、初診日が20歳の誕生日の前日以後にあり、自営業や無職、学生さん等でお勤めをしていない時、もしくは、厚生年金保険に加入している方の扶養に入っている時で、国民年金のみの加入期間中にある場合は、国民年金の第1号被保険者、第3号被保険者という扱いのため、「障害基礎年金の請求」となり、厚生年金保険に加入していた期間中にある場合は、厚生年金保険被保険者であると同時に、国民年金第2号被保険者でもあることから、「障害給付として、障害基礎年金と併せて、障害厚生年金も請求する」形になる、というものです。

初診日が明確になることで、請求する障害年金の種類が決まり、請求に使用する請求書の種類等、揃える書類も決まり、その後の手続きの流れも決まります。

しかし、資料を収集した結果、初診日がどこになるかわからない、というケースもあります。

例えば、内科で不眠症と診断された中、心療内科を紹介され、うつ状態の診断を受け、現在は別の心療内科でうつ病として、通院されているような方です。

内科で不眠症の治療を受けておられた経過は、心療内科で取得した受診状況等証明書に記載があり、全体の治療としては、内科からメンタル関係の治療がスタートしているかのように見えます。

内科の初診日は、国民年金加入期間中、心療内科の初診日は、厚生年金保険加入期間中です。

初診日が明確にならないことから、障害認定日もわかりません。

障害基礎年金と障害給付(障害基礎年金・障害厚生年金)の同時請求

このような時、どのようにすれば良いでしょうか?

当事務所では、判断の対象となる重要な「時期」の、4.の期間の症状に基づき、障害基礎年金と障害給付(障害基礎年金・障害厚生年金)の同時請求をする、という方法をとっています。

敢えて、断定せず、実際の治療経過から、国民年金加入期間中、もしくは、厚生年金保険加入期間中、どちらの初診日が認められても良い形を取りつつ、積極的に申立てをする日を決め、病歴・就労状況等申立書を作成し、2枚の請求書を同時に、年金事務所に提出します。

(例に挙げた方については、国民年金加入期間中の初診日が否定され、厚生年金保険加入期間中の初診日が認められました。)

この方法であれば、請求関係書類を年金事務所に提出した日の属する月の翌月から支給開始となる事後重症による請求であっても、どちらか一方の初診日を断定して手続きを進めた挙句、申し立てた初診日が認められず、年金事務所より返戻され、改めて手続きをする中で生じる支給開始の遅れから、得られるはずであった年金が、減ってしまうリスクがありません。

現在の症状による請求を行った後に障害認定日による請求(遡及請求)をする

更に、同時請求で、日本年金機構等保険者に初診日を決めてもらえば、受給権が発生した後、そこから障害認定日を割り出し、改めて、障害認定日による請求(遡及請求)を行うことも可能です。

一度、現在の症状による請求を取り下げる、という形は取りますが(※)、取下げ書や、現在の症状による請求に際して提出した請求書の理由欄の内容との矛盾を解消する理由書等を作成し、改めて、障害認定日による請求(遡及請求)を行えば良いのです。

障害認定日が明確にならない中で、障害認定日による請求(遡及請求)を行う場合は、「おそらく、ここが障害認定日だろう」と、当て推量で、障害認定日時点の診断書を取得し、手続きを進めることになってしまいますが、この方法であれば、「申し立てた初診日が認められなかったら、どうすれば良いのだろう…」と不安になることや、当て推量で決めた障害認定日時点の診断書料も無駄になる可能性が低くなります。

(同時請求では無くても、初診日時点のカルテが破棄されていたりする場合で、資料を比較して、どちらが(もしくは、どこが)初診日になるか、比較することすらできない、という時でも、まず、おそらく認められるであろう、初診日を申立て、現在の症状による請求をし、受給権が発生した後、初診日が明確になってから、障害認定日による請求(遡及請求)を行うケースもあります。)

リスク

ただ、現在の症状による請求を行ってから、障害認定日による請求(遡及請求)を行う場合は、リスクがあり、以前書いた、障害年金の時効、のルールのとおり、障害認定日による請求手続きをする時点から5年分の遡り受給しか認められないことから、現時点から5年以上前に障害認定日がある場合は、現在の症状による請求で、受給権が発生した後、障害認定日による請求手続きをするまでの間に、現在の症状による請求で発生した受給権により支給された期間(もしくは、支給されることとなる期間)の分の年金は、障害認定日による請求手続きをする時点では、支給済み年金となり、遡って支給されたであろう年金が減ってしまうことがあります。

現時点から、障害認定日が2~3年程度前、ということであれば、気にする必要はありませんが、5年近く前、ということであれば、時効消滅を意識して、現在の症状による請求はもちろんのこと、障害認定日による請求も、現在の症状による請求で受給権が発生した後、速やかに手続きすることが必要です。

ごくたまに、現在の症状による請求で受給権が発生し、支給開始から5年以上経過して、受給権発生後でも障害認定日による請求を行うことができることを知ったお客様から、「どうにか遡及請求を行うことができませんか?」とお問い合わせをいただくことがあるのですが、この場合は、「障害年金の時効のルールから、同一のご病気やお怪我の関係であれば、手続きをしてもメリットがありませんよ。」とお伝えしています。

当事務所では、お客様の治療経過、資料の収集状況等から、社会保険諸法令、現在までの知見により、あらゆる角度で、最適な手続き方法のご提案を行います。

何か不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

※これによる失権はありません。

参考判例

最高裁判例 平成29(行ヒ)44 障害年金請求事件 平成29年10月17日

こちらのコラムもご参照ください

初診日についての誤解

精神の障害厚生年金についての感想

判断の対象となる重要な「時期」

参考条文

国民年金法

第二章 被保険者

(被保険者の資格)
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第一号被保険者」という。)
二 厚生年金保険の被保険者(以下「第二号被保険者」という。)
三 第二号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。)であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)
2 前項第三号の規定の適用上、主として第二号被保険者の収入により生計を維持することの認定に関し必要な事項は、政令で定める。
3 前項の認定については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

(資格取得の時期)
第八条 前条の規定による被保険者は、同条第一項第二号及び第三号のいずれにも該当しない者については第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つた日に、二十歳未満の者又は六十歳以上の者については第四号に該当するに至つた日に、その他の者については同号又は第五号のいずれかに該当するに至つた日に、それぞれ被保険者の資格を取得する。
一 二十歳に達したとき。
二 日本国内に住所を有するに至つたとき。
三 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者でなくなつたとき。
四 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき。
五 被扶養配偶者となつたとき。

(資格喪失の時期)
第九条 第七条の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第二号に該当するに至つた日に更に第七条第一項第二号若しくは第三号に該当するに至つたとき又は第三号から第五号までのいずれかに該当するに至つたとき(第四号については、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となつたときに限る。)は、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 日本国内に住所を有しなくなつたとき(第七条第一項第二号又は第三号に該当するときを除く。)。
三 六十歳に達したとき(第七条第一項第二号に該当するときを除く。)。
四 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となつたとき(第七条第一項第二号又は第三号に該当するときを除く。)。
五 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失したとき(第七条第一項各号のいずれかに該当するときを除く。)。
六 被扶養配偶者でなくなつたとき(第七条第一項第一号又は第二号に該当するときを除く。)。
3 前項の認定については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

厚生年金保険法

第二章 被保険者
第一節 資格

(適用事業所)
第六条 次の各号のいずれかに該当する事業所若しくは事務所(以下単に「事業所」という。)又は船舶を適用事業所とする。
一 次に掲げる事業の事業所又は事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの
イ 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
ロ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
ハ 鉱物の採掘又は採取の事業
ニ 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
ホ 貨物又は旅客の運送の事業
ヘ 貨物積みおろしの事業
ト 焼却、清掃又はと殺の事業
チ 物の販売又は配給の事業
リ 金融又は保険の事業
ヌ 物の保管又は賃貸の事業
ル 媒介周旋の事業
ヲ 集金、案内又は広告の事業
ワ 教育、研究又は調査の事業
カ 疾病の治療、助産その他医療の事業
ヨ 通信又は報道の事業
タ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業
二 前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所又は事務所であつて、常時従業員を使用するもの
三 船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員(以下単に「船員」という。)として船舶所有者(船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第三条に規定する場合にあつては、同条の規定により船舶所有者とされる者。以下単に「船舶所有者」という。)に使用される者が乗り組む船舶(第五十九条の二を除き、以下単に「船舶」という。)
2 前項第三号に規定する船舶の船舶所有者は、適用事業所の事業主とみなす。
3 第一項の事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
4 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(第十二条に規定する者を除く。)の二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。
第七条 前条第一項第一号又は第二号の適用事業所が、それぞれ当該各号に該当しなくなつたときは、その事業所について同条第三項の認可があつたものとみなす。
第八条 第六条第三項の適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
2 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(第十二条に規定する者を除く。)の四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。
第八条の二 二以上の適用事業所(船舶を除く。)の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該二以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。
2 前項の承認があつたときは、当該二以上の適用事業所は、第六条の適用事業所でなくなつたものとみなす。
第八条の三 二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該二以上の船舶は、一の適用事業所とする。この場合において、当該二以上の船舶は、第六条の適用事業所でないものとみなす。

(被保険者)
第九条 適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。
第十条 適用事業所以外の事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生労働大臣の認可を受けて、厚生年金保険の被保険者となることができる。
2 前項の認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。
第十一条 前条の規定による被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。

(適用除外)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
一 臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては所定の期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
イ 日々雇い入れられる者
ロ 二月以内の期間を定めて使用される者
二 所在地が一定しない事業所に使用される者
三 季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし、継続して四月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
四 臨時的事業の事業所に使用される者。ただし、継続して六月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあつては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。

(資格取得の時期)
第十三条 第九条の規定による被保険者は、適用事業所に使用されるに至つた日若しくはその使用される事業所が適用事業所となつた日又は前条の規定に該当しなくなつた日に、被保険者の資格を取得する。
2 第十条第一項の規定による被保険者は、同項の認可があつた日に、被保険者の資格を取得する。

(資格喪失の時期)
第十四条 第九条又は第十条第一項の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に前条に該当するに至つたとき、又は第五号に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。 一 死亡したとき。
二 その事業所又は船舶に使用されなくなつたとき。
三 第八条第一項又は第十一条の認可があつたとき。
四 第十二条の規定に該当するに至つたとき。
五 七十歳に達したとき。

(被保険者の種別の変更に係る資格の得喪)
第十五条 同一の適用事業所において使用される被保険者について、被保険者の種別(第一号厚生年金被保険者、第二号厚生年金被保険者、第三号厚生年金被保険者又は第四号厚生年金被保険者のいずれであるかの区別をいう。以下同じ。)に変更があつた場合には、前二条の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。

精神の分野における障害年金の遡り請求について

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

「遡って支給されることがある、と聞いたのですが、私は該当しますか?」というお問い合わせが多く、今回は、精神の分野における障害年金の遡り請求について、という題で、書いてみたい、と思います。

判断の対象となる時期に通院や入院をしているか、どうか

障害年金の遡り請求については、以前、判断の対象となる重要な「時期」遡り請求と事後重症請求、でも書きましたが、一部の例外を除き、以下の1.~3.の期間で、通院や入院があり、その時点の診断書によって、障害の状態として認められた場合、支給されます。

初診日が、20歳の誕生日の前日以後にある方、もしくは
厚生年金保険等に加入している間(お勤めされていた期間)にある方は、
1.→障害認定日以後3ヵ月以内。

初診日が、20歳の誕生日の前々日以前にあり、かつ
厚生年金保険等に加入している間(お勤めされていた期間)にない方で、
  障害認定日が20歳の誕生日以後にある方は、
2.→障害認定日の前後3ヵ月以内。
  障害認定日が20歳の誕生日前日以前にある方は、
3.→20歳の誕生日前日の前後3ヵ月以内。

遡り請求を行う場合は、初診日と障害認定日の位置付けをご理解いただいた上で、判断の対象となる重要な時期に、まず、通院や入院があるか、どうか、確認が必要になります。

(請求手続き以前に、そもそも、この時期に、通院や入院自体をしていなければ、この期間のカルテが元から無いことから、請求手続きに必要な診断書作成の依頼を行うことができない、ということになるからです。)

判断の対象となる重要な「時期」の診療録(カルテ)が残されているか、どうか

通院や入院をしていた、ということであれば、次に、医療機関が診療録(カルテ)を保管しているか、どうか、が重要になります。

法令では、5年間の保管が規定されていますが、5年が経過した後に残しておくか、破棄するかは、医療機関の判断次第となりますので、この部分については、運、の要素が入ります。

調べていくと、「残っていなかった」「破棄されていた」等、どうしようもない状況になっていることもあれば、20年、30年前でも、「残っていた」ということもあります。

判断の対象となる重要な「時期」の体調はどうか

通院はしていたが、日常生活やお仕事に制限を受けている状態であったか、どうか、また、その時点の病名はどのように診断されていたのか等、調べていく必要があり、障害の状態に該当するか、どうか、手続きを進めていくことで分かることになります。

遡って支給される期間について

遡って支給される場合は、障害認定日の属する月(もしくは、20歳の誕生日の前日が属する月)の翌月」から経過した期間の分、となります。

ごくたまに、「通院が始まって1年半経ちました。遡って、障害年金は貰えますか?」というお問い合わせや、「中学生の頃から通院が始まり、20歳になりました。遡って、障害年金は貰えますか?」というお問い合わせがあります。

これは、障害年金はいつから請求できるか、ということをご理解いただいていないため、「初診日から貰えるもの」という誤解からお話をされているのだと思いますが、

初診日の属する月」から経過した期間の分、ではありません。よろしくお願いいたします。

(障害年金は法令上、まず、障害認定日の時点での請求を想定しており、その時点で、障害の状態ではない、ということであれば、その後、悪化した、という形の中で、現在の症状で請求する、という流れを辿るのですが、「通院を開始して、1年6ヵ月が経過した(もしくは、20歳になった)ので、障害年金の請求をしよう。」となる方は一部で、多くの方は、そのまま通院等治療が続き、しばらくしてから、「本当に体の具合が辛いので、障害年金を請求しよう。ん?遡って支給されることがある?」と気づき、そこで、ようやく、障害認定日の属する月の翌月から現在まで、遡って支給される可能性がある期間が判明します。)

まとめ

障害認定日による請求(遡及請求)は、様々な角度から検討し、手続きを進めていく必要があり、決して、簡単なものではありません。

当事務所では、お客様にとって最適な障害年金請求の手続きをご案内しておりますので、何か不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

参考1 国民年金法

第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

第三十条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病に係る初診日において前条第一項各号のいずれかに該当した者であつて、障害認定日において同条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害基礎年金の支給を請求することができる。
2 前条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の請求があつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、その請求をした者に同項の障害基礎年金を支給する。
4 第一項の障害基礎年金と同一の支給事由に基づく厚生年金保険法第四十七条又は第四十七条の二の規定による障害厚生年金について、同法第五十二条の規定によりその額が改定されたときは、そのときに同項の請求があつたものとみなす。

第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。
2 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者(同日において被保険者でなかつた者に限る。)が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、六十五歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に前項の障害基礎年金の支給を請求することができる。
3 第三十条の二第三項の規定は、前項の場合に準用する。

参考2 厚生年金保険法

(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

第四十七条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であつた者であつて、障害認定日において前条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害厚生年金の支給を請求することができる。
2 前条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の請求があつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、その請求をした者に同項の障害厚生年金を支給する。

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初診日がどの時点にあるか

受診状況等証明書

初診日についての誤解

精神の障害厚生年金についての感想

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、精神の障害厚生年金についての感想、という題で、書いてみたい、と思います。

お問い合わせいただくお客様の中で、

「学生の頃に通院はしましたが、本格的に治療を開始したのは、会社員になってからです。初診日は、厚生年金保険に加入していた時期のものになりませんか?」

「調べていくと、厚生年金保険に加入していない時期に、初診日があることがわかりました。タイミングだけの問題で、障害厚生年金が請求できないことが納得できません。」等

とおっしゃる方が大勢います。

これは、初診日が20歳の誕生日の前日より前で厚生年金保険に加入していない期間や、国民年金加入期間中にある場合は、障害基礎年金を請求することになることから、1級、もしくは、2級の障害の状態にならなければ、年金としては支給されないことと、初診日が厚生年金保険に加入していた期間中にある場合は、3級の障害の状態であっても年金として支給され、2級以上であれば、障害基礎年金と併せて、障害厚生年金も支給されることをお調べになって、お話されるのだと思います。

障害基礎年金で良いと思うこともあります

当事務所では、このようなお問い合わせを受けると、

「必ずしも、障害厚生年金の請求の方が得だとは限らないのですよ。」と回答しています。

これは、経験則上、障害厚生年金では3級相当である方(障害厚生年金2級にはならないと思われる方)でも、障害基礎年金では2級として認定されることがある、ということを知っているからです。

障害厚生年金の年金額は「報酬比例」という考え方で計算されており、障害認定日の属する月までのお給料が高い人ほど多く貰う仕組みになっているのですが、皆様、お給料の面で、相当程度、苦労されており、報酬比例、ということになると、殆どの方が、法令で定められている「最低保障額」になってしまい、障害厚生年金3級相当の場合は、障害基礎年金2級の金額の方が多い、ということがあるのです。

今までご対応させていただいたお客様の中には、「障害厚生年金にならなければ、障害年金の請求をしません。」とおっしゃって、手続き自体を止めてしまう方もいましたが、

「初診日が、厚生年金保険加入期間中ではなくて良かった、ということもあるのに。」

と疑問を感じることもありました。

3級相当の場合で、将来、ご病状が悪化されて、上位の等級に変更する可能性を考慮した上で、障害厚生年金の方が良い、とお考えの方もいるのかもしれませんが、手続き自体を止めてしまう必要はないと思うのです。

当事務所では、社会保険諸法令、現在までの知見により、あらゆる角度から、お客様にとって最適な障害年金請求のご提案をしています。

何か不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

参考 厚生年金保険法


(年金額)
第四十三条 老齢厚生年金の額は、被保険者であつた全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、別表各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「再評価率」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。附則第十七条の六第一項及び第二十九条第三項を除き、以下同じ。)の千分の五・四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
(障害厚生年金の額)

第五十条
 障害厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が三百に満たないときは、これを三百とする。
 障害の程度が障害等級の一級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額の百分の百二十五に相当する額とする。
 障害厚生年金の給付事由となつた障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第三十三条第一項に規定する障害基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)に満たないときは、前二項の規定にかかわらず、当該額をこれらの項に定める額とする。

第五十一条
 第五十条第一項に定める障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害に係る障害認定日(第四十七条の三第一項の規定による障害厚生年金については同項に規定する基準傷病に係る障害認定日とし、第四十八条第一項の規定による障害厚生年金については併合されたそれぞれの障害に係る障害認定日(第四十七条の三第一項に規定する障害については、同項に規定する基準障害に係る障害認定日)のうちいずれか遅い日とする。)の属する月後における被保険者であつた期間は、その計算の基礎としない。

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初診日がどの時点にあるか

初診日についての誤解

初診日についての誤解

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、初診日についての誤解、という題で、書いてみたいと思います。

以前、障害年金はいつから請求できるか、でも、初診日について書きましたが、分かりづらい規定のため、お問い合わせいただくお客様より、

「現在、うつ病の治療を続けていますが、心療内科で、本格的な治療を開始したのは、3年前です。よって、初診日は○○年〇月〇日です。」

「現在、双極性障害の治療を受けていますが、生まれて初めて、精神科に通院を開始したのは、10年前ですので、初診日は□□年□月頃になると思います。」

等、様々なお話を伺います。

診断されている病名が、うつ病や双極性障害等、メンタル関係の疾患であるのだから、標榜している診療科目を心療内科や精神科としている医療機関での初診日が、障害年金を請求する上での初診日になる、というご認識なので、このようにお話されるのだと思うのですが、改めて、規定されている内容を掲示しますと

国民年金・厚生年金保険障害認定基準
第1 一般的事項
(省略)
3 初診日 「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。
(省略)

となっています。

標榜している診療科目に限定されること無く、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日が、初診日ということになります。

ここで、具体的な事例を示すと、

請求傷病:うつ病
現在通院している医療機関:心療内科のクリニック
初診医療機関:産婦人科のクリニック

請求傷病:双極性障害
現在通院している医療機関:総合病院の精神科
初診医療機関:内科のクリニック

請求傷病:うつ病
現在通院している医療機関:心療内科のクリニック
初診医療機関:外科のクリニック           等々

メンタル関係の診療科目を標榜している医療機関の初診日が、メンタル関係のご病気の初診日になる訳ではない、ということがお分かりいただけると思います。

手続きを進めていくと、お客様から伺っている医療機関より前の医療機関が分かり、初診日が遡って古い日付になっていくことは良くあり、その場合、初診日が会社にお勤めをして、厚生年金保険に加入していた期間中ではなく、学生さんであった国民年金加入期間にあることになり、障害厚生年金の請求から障害基礎年金への請求となることや、カルテが既に無い医療機関で治療を受けていた時期が障害認定日となることになり、障害認定日による請求(遡及請求)ができない状態になることがあります。

他にも、保険料を納付していない時期に初診日が遡ってしまい、障害年金の請求自体ができなくなる方や、初診日を証明する書類(受診状況等証明書)の取得が難航し、手続きが複雑になるケースもあります。

初診日についての見通しを誤ることは、手続き全体の混乱を招き、リスクが非常に高いことが分かります。

当事務所では、様々な事例から得られた知見により、お客様ごとに最適な手続きを進め、ベストな解決策をご提案しております。

何かお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

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初診日がどの時点にあるか

判断の対象となる重要な「時期」

不安にならないために

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、不安にならないために、という題で、書いてみたい、と思います。

まず、ご紹介ですが、当事務所はごく一部の例外を除いて、障害年金の請求代行を主な仕事として、企業の顧問先を持たず、給与計算、労働保険の年度更新業務、労務管理についての相談等は行っておりません。

その理由は、極めてシンプルで、代表である私自身が、団体職員(生損保兼営の共済事業を目的に設立された団体です。)であったときや、社会保険労務士事務所に勤務していたときに、そのような手続きを一度もしたことが無く、社会保険関係では、障害年金の請求代行とその周辺業務しかスキルがないから、ということになります。

自分が一度も手続きをしたことが無い分野は、「結果が見通せないし、怖いな」と思いますし、障害年金業務やその周辺業務については、毎日しておりますので、かなり知識、経験がありますが、それ以外は…厳しい状況です。

障害年金を請求してから結果が不安でたまらない

日々、電話やメールでお問い合わせをいただく中で、

「書類を年金事務所に提出し、結果が不安でたまりません。どうしたら良いですか?」

という方が、多くいます。

「社会保険労務士の存在を知らず、頼めることを知らなかった」

「年金事務所の人と相談して、進めれば、それで良いと思っていた」等々

色々な理由を皆様、おっしゃるのですが、「何か心配だな」と少しでも感じたら、まず、立ち止まって、落ち着いてから、親しい人に相談したり、図書館に行って専門の本を読んだりすることをお勧めします。

人間、「知らない」「分からない」「困っている」等、周りに表明したりすることは、「恥ずかしい」「情けない」「弱いところは見せられない」との思いから、なかなか難しいとは思いますが、後で不安になる位なら、正直になって、色々話したり、相談したりすることも、悪くないと思います。

守秘義務

もし、親しい人にも相談することがどうしても難しい、ということであれば、社会保険労務士を活用してください。

守秘義務(仕事上で知り得た秘密を守る義務)を課されている訳ですから、すべて「ここだけの話」で完結してしまいます。

尚、当事務所は、相談だけであれば、無料となっております。

様々な角度から検討します

障害年金請求は、初診日を特定でき、障害認定日の時期を迎え、保険料を納めていることになり、現在の症状から、見込みがある方については、ポイントを押さえて、手続きを進める事で、受給は可能です。

ただ、その見込みがあるか、どうか、が分かり、ポイントを押さえることができるか、どうかは、障害年金専門の社会保険労務士次第です。

どの社会保険労務士の方もかなりの量の知識を、試験会場で、適宜、引き出して、見たことも無い問題が出題されても、合格している訳ですから、法令や統計については、相当程度、頭に入っていると思いますが、専門で仕事としている分野は向き不向きもあるので、差があります。

相談してみて、障害年金は難しい、と捉えている社会保険労務士ではなく、障害年金はシンプル、と捉えている社会保険労務士に出会えるといいですね。

改めて、ご紹介

私自身、かなりの件数を扱いましたが、まだまだ、余裕がありますので、当事務所も、ご相談相手として、ぜひ、ご検討ください。

当事務所は「精神」「知的障害」の分野を専門に障害年金業務に特化した社会保険労務士事務所です。

何か不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

障害年金請求のタイミング

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、障害年金請求のタイミング、という題で書いてみたい、と思います。

(※複雑になることを避けるため、「精神」「知的障害」の分野の障害年金にテーマを限定しています。「障害認定日の特例」については、考慮しません。)

まず、前提として、障害年金は、社会保険という「保険」の分野の一つであり、「保険料を納めていること」になる方が、「万が一の時(障害の状態となった時)」に支給されます。

そして、「精神」「知的障害」の障害年金では、この「万が一の時」を、ご病気等で、日常生活で制限を受けておられること、に併せて、お仕事がどのように制限を受けておられるか、という観点から審査がされています。更に、以前、請求するためには一定の期間が過ぎる必要がある、ということと、障害の状態か、判断の対象となる重要な「時期」があることについて書きましたが、障害年金は、請求すべきタイミングがあり、「早すぎても、遅すぎても、貰えない」ということが往々にして起こります。

お問い合わせいただくお客様の中でも、「まだ障害認定日が到来していない」もしくは「複数回の休職を経て、直近3ヵ月位は、復職して元気に働いている。」という方が、大勢います。

もちろん、障害認定日が到来する前に、お体が回復されることが一番ですし、休職を経て、現在、お元気に働いておられるのであれば、それは何よりですが、医療機関での治療等が始まって、数日では、当然に請求はできませんし、判断の対象となる重要な「時期」を知らずに過ごしてしまい、復職され、元気になられた1年後等に、「やっぱり障害年金の受給権を取っておきたい」となった時のお問い合わせでは、「再度、お体の状態が悪くなった時に、お問い合わせください。」とお伝えする他ありません。

タイミングの問題だけに、「もったいないな」と思う時があります。

対策

治療等が始まって、「これからどうなるのだろう」といった不安な時期や、障害認定日も過ぎた頃の休職中等の期間は、お体の具合も、相当程度、悪化していますので、「障害年金の請求どころではない」という状況から、請求のタイミングに、混乱が生じることはやむを得ないと思います。

しかし、定められたルールに則って、手続きをしなければ、障害年金の受給権発生はあり得ず、結局のところ、どうすれば、将来の自分を守れるのか、という問題に対しては、請求のタイミングがあることを知った上で、準備をしておくことや、お体の具合が悪いのであれば、障害年金請求代行を専門にしている社会保険労務士に事務を委託してしまう、ということも選択肢の一つです。

「仮に仕事ができなくなっても、障害年金の受給権はある。」という前提の下であれば、お仕事をし、生活をしていても、少し余裕があるかもしれませんが、「仕事ができなくなってしまったら、何の収入も無い、どうしよう…」とご不安を抱えて、お仕事をし、生活することは、あまりお体には良くありません。

「知らなかった。。」ということで起こる悲劇は、枚挙に暇がありませんが、このコラムが何か参考になれば、と思います。

当事務所は「精神」「知的障害」の分野を専門に、障害年金業務に特化した社会保険労務士事務所です。

何か不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

こちらのコラムもご参照ください。

遡り請求と事後重症請求

障害年金の支給調整

障害年金の診断書

受診状況等証明書

病歴・就労状況等申立書について

どうすれば障害年金は貰えるのか(問いの原因)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

日々、沢山のお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。

いただいた障害年金の請求についての疑問に対して、ご回答している中、ご自身の身の上を簡単にお話になった上で、「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」という質問を多く受けております。

当事務所では、お問い合わせいただいたお客様に「障害年金の受給を検討されているお客様でよろしいですか?」と確認をさせていただき、その後、保険料を納めていることになるかご病名、年齢、状態等、様々な観点から、聴き取りをし、具体的な手続きの流れについてご案内しております。

今回は、一番初めの「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」という問いそのものをテーマとして、書いてみたい、と思います。

障害年金とは

何故、「障害年金は貰えますか」という問いが生まれるのか?

それは、障害年金の仕組みの部分が大きく影響しています。

障害年金は、社会保険という「保険」の分野の一つであり、保険金を請求するために「保険料を納めていること」になること、そして「万が一の時」である、ということが必要になります。

生命保険や自動車保険では、契約する際に、重要事項説明を受け、ある程度分かり易くした資材を用いて、「このような時には保険金を請求してください」と保険の内容を伝えられます。(約款も渡されますが、全てを読み込んでいる方は非常に少ないと思います。)

しかし、国民年金や厚生年金保険に加入する際、「このような時に保険金を請求してください」と担当者から説明を受けることはありませんし、「万が一の時」が何かを、詳しく伝えられることはありません。

そして、「事が起きてから」、ようやく自身の入っていた「保険」について、確認を行い、
「・・・という状況ですが、障害年金は貰えますでしょうか?」

という流れになります。

同じ「保険」でも、リスクに対して備えている、という意識が持ちづらく、保険の「内容」が分かりづらい、という側面があることは否定できません。

日本年金機構が公開している国民年金・厚生年金保険 障害認定基準から、「精神の障害」の項について、一部、抜粋して、掲載します。

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

(省略)

第8節/精神の障害 精神の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準
精神の障害については、次のとおりである。

 

令別表
障害の程度障害の状態
国年令別表
1 級精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
2 級精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
厚年令別表第13 級精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
別表第2障害手当金精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えること を必要とする程度のものを2級に、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものを3級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものを障害手当金に該当するものと認定する。
 精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。
 したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。

(省略)

 

どうでしょうか?

「万が一の時」が極めて分かりづらいものとなっています。
保険でいう「査定(お支払い)」の部分は、「結局、具体的には、どうなるの?」
ということになってしまうのは、仕方がないと思います。

障害年金の申請へ向けて

障害年金を申請することを、正式には「裁定請求」といいます。

その裁定請求手続きにあたり、年金事務所の担当の方に確認していただければ、どのような種類の書類を整えれば良いか、という点については、親切、丁寧に説明を受けることができます。

さらに肢体の不自由さによる障害や人工透析等の内部障害等であれば、公開されている基準で、分かり易く具体的な数値等で表されているものもありますので、ある程度、障害年金が貰えるか、どうか、の話しを聞くこともできるかもしれません。

しかし、「精神」の分野では、「目安」はあっても、その幅が広く、簡単にわかるものではありません。

実しやかに(まことしやかに)、「障害年金は寝たきりの状態でなければ、貰えないもの」という風説すら耳にすることがありますが、そのような認識になってしまう原因は、「分かりづらさ」そのもの、と言っても過言ではありません。

ご病気や障害によって苦しみ、お仕事や生活の面で支障を来しているにもかかわらず、「どうせ無理なのだろう」という誤った自己判断によって、貰えるはずのものが、貰えない、そんな状況が続いているのであれば、そんな寂しいことはありません。

「どうすれば障害年金は貰えるのか」

「何から始めれば良いのか」

当事務所は、「精神」「知的障害」の分野を専門とした障害年金業務に特化した社会保険労務士事務所です。

受給できる可能性があるか、どうか、お問い合わせいただければ、当事務所の「知見」よりお答えし、何から始めたらよいかを含めて、お客様にベストな提案をさせていただきます。

何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

 

【こちらのコラムもご参照ください】

障害年金請求の障害

保険料の免除と年金額について

病歴・就労状況等申立書について

障害年金の診断書

未納分を納付したのに、貰えない?

障害年金はいつから請求できるか

保険料の免除

 

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