障害年金はいつから請求できるか
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、障害年金はいつから請求できるか、について書いてみたいと思います。
障害年金がいつから請求できるか、は2つの日付で決まります。
(複雑になることを避けるため、基本的な事項のみ、簡単に記載します)
まず、「初診日」という日付です。これは、
- 病気や負傷で、初めて医師または歯科医師の診察、検査、処置、投薬、手術、その他の治療等(以下、「治療」とします。)を受けた日。
- 1の原因になる病気について、初めて医師または歯科医師の治療を受けた日。
となります。
(例を挙げれば、うつ病の治療で通院中の方が、それ以前に、ストレス性の不眠症で通院していれば、2.が「初診日」となります)
尚、同一の病気や負傷の関係で医療機関が変わった場合は、一番初めに医師または歯科医師の治療を受けた日となります。よくある誤解で、「病名が確定した日」ではありません。ご注意ください。
次に「障害認定日」という日付です。これは、
- 「初診日」から1年6ヵ月を経過した日。
- 「初診日」から1年6ヵ月を経過した日より前に、その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った場合は、至った日。
となります。
この「障害認定日」の時期以降でなければ、障害年金は請求できません。
一部を除き、長い時間をかけて「障害の状態」になる、ということがお分かりいただければ、と思います。
よろしくお願いいたします。
参考条文
国民年金法
第三節 障害基礎年金
(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。(省略)
一 被保険者であること。
二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
厚生年金保険法
第三節 障害厚生年金及び障害手当金
(障害厚生年金の受給権者)
第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。(省略)
2 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
参考資料
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
第1 一般的事項
1 障害の状態
障害基礎年金、障害厚生年金及び障害手当金が支給される「障害の状態」とは、身体又は精神に、国民年金法施行令(昭和 34 年政令第 184 号)別表(厚生年金保険法施行令(昭和 29年政令第 110 号)第 3 条の 8 において厚生年金保険の 1 級及び 2 級の障害の 状態とされる場合を含む。以下「国年令別表」という。)、厚生年金保険法施行令別表 第1(以下「厚年令別表第1」という。)及び厚生年金保険法施行令別表第2(以下 「厚年令別表第2」という。)に定める程度の障害の状態があり、かつ、その状態が長期 にわたって存在する場合をいう。
2 傷病
- 「傷病」とは、疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病を総称したものをいう。
- 「起因する疾病」とは、前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうというように、前の疾病又は負傷との間に相当因果関係があると認められる場合をいい、負傷は含まれないものである。
3 初診日
「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。
4 障害認定日
「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日 から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。
5 傷病が治った場合
「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合 は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。