初診日についての誤解

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、初診日についての誤解、という題で、書いてみたいと思います。

以前、障害年金はいつから請求できるか、でも、初診日について書きましたが、分かりづらい規定のため、お問い合わせいただくお客様より、

「現在、うつ病の治療を続けていますが、心療内科で、本格的な治療を開始したのは、3年前です。よって、初診日は○○年〇月〇日です。」

「現在、双極性障害の治療を受けていますが、生まれて初めて、精神科に通院を開始したのは、10年前ですので、初診日は□□年□月頃になると思います。」

等、様々なお話を伺います。

診断されている病名が、うつ病や双極性障害等、メンタル関係の疾患であるのだから、標榜している診療科目を心療内科や精神科としている医療機関での初診日が、障害年金を請求する上での初診日になる、というご認識なので、このようにお話されるのだと思うのですが、改めて、規定されている内容を掲示しますと

国民年金・厚生年金保険障害認定基準
第1 一般的事項
(省略)
3 初診日 「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。
(省略)

となっています。

標榜している診療科目に限定されること無く、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日が、初診日ということになります。

ここで、具体的な事例を示すと、

請求傷病:うつ病
現在通院している医療機関:心療内科のクリニック
初診医療機関:産婦人科のクリニック

請求傷病:双極性障害
現在通院している医療機関:総合病院の精神科
初診医療機関:内科のクリニック

請求傷病:うつ病
現在通院している医療機関:心療内科のクリニック
初診医療機関:外科のクリニック           等々

メンタル関係の診療科目を標榜している医療機関の初診日が、メンタル関係のご病気の初診日になる訳ではない、ということがお分かりいただけると思います。

手続きを進めていくと、お客様から伺っている医療機関より前の医療機関が分かり、初診日が遡って古い日付になっていくことは良くあり、その場合、初診日が会社にお勤めをして、厚生年金保険に加入していた期間中ではなく、学生さんであった国民年金加入期間にあることになり、障害厚生年金の請求から障害基礎年金への請求となることや、カルテが既に無い医療機関で治療を受けていた時期が障害認定日となることになり、障害認定日による請求(遡及請求)ができない状態になることがあります。

他にも、保険料を納付していない時期に初診日が遡ってしまい、障害年金の請求自体ができなくなる方や、初診日を証明する書類(受診状況等証明書)の取得が難航し、手続きが複雑になるケースもあります。

初診日についての見通しを誤ることは、手続き全体の混乱を招き、リスクが非常に高いことが分かります。

当事務所では、様々な事例から得られた知見により、お客様ごとに最適な手続きを進め、ベストな解決策をご提案しております。

何かお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

こちらのコラムもご参照ください

初診日がどの時点にあるか

判断の対象となる重要な「時期」

この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、350件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

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