障害年金の不支給決定から学ぶこと(既にご自身で手続きを進めている方へ)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、「障害年金の不支給決定から学ぶこと(既にご自身で手続きを進めている方へ)」という題で書いてみたい、と思います。

「目安」のとおりにはならない

お問い合わせの中で

精神の障害に係る等級判定ガイドライン』に掲載されている障害等級の目安では2級になる診断書を主治医に作成いただいたのに、不支給決定でした。不服申し立てもしたのに、認められませんでした。どうすれば良いですか?

というものがあります。

すぐ、「現在までの資料の写しを当事務所に郵送ください。対応を検討します。」と伝え、届いた資料の「ある部分」を、そのまま読み上げる形で、

「『本件診断書によれば、…と評価されていることから、これらを前記ガイドライン通知に照らすと、日常生活能力の平均判定は「□.□」、日常生活能力の程度は「(△)」となり、障害等級の目安は「2級」となる。
しかしながら、…前述のガイドライン通知によれば、総合評価は、診断書の記載内容に基づき、個別の事案に即して総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあり得るが、その場合は、合理的かつ明確な理由をもって判定するとされているところ、請求人は…2級の程度に該当すると認めることは困難であると言わざるを得ない。
と書いてありますね。」

と手続きの結果を整理し、その上で、

「現状、ご病状や状況が変わっていることがあれば、対応できますが、どうですか?」と、ご返答することがあります。

この『 』は、不服申し立てに対して、社会保険審査官から送られてきた決定書のほぼ最後に出てくる文章で、精神の障害に係る等級判定ガイドラインの〔表1〕障害等級の目安≪留意事項≫を引用して、不支給決定であることに問題が無かった理由を書いたものです。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(5ページ)をよく見ると〔表1〕障害等級の目安≪留意事項≫という部分があり、ここには「障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となり得ることに留意して用いること。」と確かに記載されています。

「目安」のとおりにはならないのです。

「診断書等に記載される他の要素」こそ

障害年金の診断書には自立支援医療制度(精神通院)や精神障害者保健福祉手帳の申請時に使用する診断書内容よりも詳細に、治療経過、発育養育歴、職歴、療法や服薬の内容、福祉サービスの利用状況等A3両面に亘って記載されます。また、病歴・就労状況等申立書では、病歴や就労状況等について、ポイントを押さえて、ミスなく作成することが求められます。また、書類一式を提出した後に、医療照会が行われることもあります。

この手続きにおいては、初めから結論ありき、で動くことなどできず、実務上は手続きを進めながら、最適解に落ち着く、という流れを辿ります。

尚、「とにかく、辛い状況(特に経済的なこと)を沢山伝えたい。」

そんなことをお考えになっていたのでしょうか?写しをいただいた提出済みの病歴・就労状況等申立書には、ご病気に関係の無い内容がびっしり書いてあることを良く見ます。

お気持ちは理解できるのですが、日本年金機構では「ご病気によって、障害等級に該当するか、どうか」を審査し、また、「ご病気によって、どのような経過を辿られているか」を確認しています。

保険料を納めていることになるか、どうか」という審査が済めば、後は、「障害等級に該当しているか、どうか」という部分が問われ、仮に豪邸に住んでいても、1億円の資産があろうとも、関係が無いことです。

経済的な困窮に焦点を当てるのであれば、それは、「生活保護」の分野となります。

「分野ごとに基準が異なる」ということ

この「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の中では、〔表2〕総合評価の際に考慮すべき要素の例が、「共通事項」「精神障害」「知的障害」「発達障害」に分けて記載され、更に、「障害認定基準 第1章 第8節/精神の障害」では、認定要領が「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に区分して、記載されています。

これは、精神の障害は多くの分野に区分され、各分野ごとに、異なる基準で審査が行われていることを意味します。

「目安」は参考であり、ご病気、ご病状ごとに、判断が行われているのです。

「思わぬ部分で不支給となったり、受給権発生に至ったりする」ということも

色々な方の手続きをさせていただき、

「この方なら、大丈夫。」と判断していた方でも、「この部分は認められないのか…」となったこともありました。

「チャレンジの要素は大きいですが、一緒に頑張りましょう。」とお伝えした方でも、「え!この部分が認められるの?!」ということもありました。

もうすぐ開業して6年目になりますが、障害年金請求代行だけを仕事として件数を重ねておりますので、ある程度の見通しは立てられます。

それでも「絶対」は無い。それが、障害年金請求手続きなのです。

お客様お一人お一人の人生がかかっていますので、手続きに着手する際は、慎重になります。

しかし、可能性が見出せる方を断ることはしていません。

大丈夫、と判断できる方も、死角が無いか、常に気を付けて、手続きを進めています。

「絶対」は無い障害年金請求手続きを、一人でも多くの方が、少しでも安心して過ごせるよう、祈念しております。

何かございましたらご連絡ください。

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この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、350件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

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