精神の障害厚生年金についての感想

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、精神の障害厚生年金についての感想、という題で、書いてみたい、と思います。

お問い合わせいただくお客様の中で、

「学生の頃に通院はしましたが、本格的に治療を開始したのは、会社員になってからです。初診日は、厚生年金保険に加入していた時期のものになりませんか?」

「調べていくと、厚生年金保険に加入していない時期に、初診日があることがわかりました。タイミングだけの問題で、障害厚生年金が請求できないことが納得できません。」等

とおっしゃる方が大勢います。

これは、初診日が20歳の誕生日の前日より前で厚生年金保険に加入していない期間や、国民年金加入期間中にある場合は、障害基礎年金を請求することになることから、1級、もしくは、2級の障害の状態にならなければ、年金としては支給されないことと、初診日が厚生年金保険に加入していた期間中にある場合は、3級の障害の状態であっても年金として支給され、2級以上であれば、障害基礎年金と併せて、障害厚生年金も支給されることをお調べになって、お話されるのだと思います。

障害基礎年金で良いと思うこともあります

当事務所では、このようなお問い合わせを受けると、

「必ずしも、障害厚生年金の請求の方が得だとは限らないのですよ。」と回答しています。

これは、経験則上、障害厚生年金では3級相当である方(障害厚生年金2級にはならないと思われる方)でも、障害基礎年金では2級として認定されることがある、ということを知っているからです。

障害厚生年金の年金額は「報酬比例」という考え方で計算されており、障害認定日の属する月までのお給料が高い人ほど多く貰う仕組みになっているのですが、皆様、お給料の面で、相当程度、苦労されており、報酬比例、ということになると、殆どの方が、法令で定められている「最低保障額」になってしまい、障害厚生年金3級相当の場合は、障害基礎年金2級の金額の方が多い、ということがあるのです。

今までご対応させていただいたお客様の中には、「障害厚生年金にならなければ、障害年金の請求をしません。」とおっしゃって、手続き自体を止めてしまう方もいましたが、

「初診日が、厚生年金保険加入期間中ではなくて良かった、ということもあるのに。」

と疑問を感じることもありました。

3級相当の場合で、将来、ご病状が悪化されて、上位の等級に変更する可能性を考慮した上で、障害厚生年金の方が良い、とお考えの方もいるのかもしれませんが、手続き自体を止めてしまう必要はないと思うのです。

当事務所では、社会保険諸法令、現在までの知見により、あらゆる角度から、お客様にとって最適な障害年金請求のご提案をしています。

何か不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

参考 厚生年金保険法


(年金額)
第四十三条 老齢厚生年金の額は、被保険者であつた全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、別表各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「再評価率」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。附則第十七条の六第一項及び第二十九条第三項を除き、以下同じ。)の千分の五・四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
(障害厚生年金の額)

第五十条
 障害厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が三百に満たないときは、これを三百とする。
 障害の程度が障害等級の一級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額の百分の百二十五に相当する額とする。
 障害厚生年金の給付事由となつた障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第三十三条第一項に規定する障害基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)に満たないときは、前二項の規定にかかわらず、当該額をこれらの項に定める額とする。

第五十一条
 第五十条第一項に定める障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害に係る障害認定日(第四十七条の三第一項の規定による障害厚生年金については同項に規定する基準傷病に係る障害認定日とし、第四十八条第一項の規定による障害厚生年金については併合されたそれぞれの障害に係る障害認定日(第四十七条の三第一項に規定する障害については、同項に規定する基準障害に係る障害認定日)のうちいずれか遅い日とする。)の属する月後における被保険者であつた期間は、その計算の基礎としない。

こちらのコラムもご参照ください

この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、350件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

ページトップへ
Menu

お気軽に無料相談をご利用下さい。
平日 9:00~18:00(土日祝休み)

Close

無料相談 お問い合わせ

平日 9:00?18:00 (土日祝休み)03-6261-7313