2026年

退職勧奨後の障害年金請求

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
社会保険労務士事務所を開業して、色々な方の手続きに関わりましたが、少し振り返る余裕が出てきたように思います。
今回は、お手続きした方の振り返りから、退職勧奨後の障害年金請求、という題で書いてみたい、と思います。

現在、退職勧奨を受けています。

ある週の金曜日のお昼過ぎにお問い合わせを受けた方から、お話を伺うと、現在、メンタル関係のご病気で、医療機関に通院し、ご勤務先からは、退職勧奨を受けており、週明けには、今後のことについてご勤務先と話し合う予定になっている、という状況でした。

当事務所所定のご質問にご回答いただいた後、今後は、公的な給付を受けつつ、少し休みたい、というお申し出もあり、当事務所では、まず、傷病手当金の支給申請が優先される、と判断できましたので、今後の流れをご説明し、電話を終えました。

週明け、事務所に来てみると、メールが届いており、有休消化の後、月末までに退職、ということで決まった、という内容のものでした。

今後、どうしたらよいのか、正直途方に暮れているところです。

当事務所の方にもご来所いただき、障害年金については、メンタル関係の初診日が明らかに厚生年金保険加入期間中にあり、障害厚生年金の支給が予定されていることから、傷病手当金との支給調整を考慮し、一旦、保留とし、1年以上、健康保険へ加入されていたので、資格喪失後の継続給付として、退職後も傷病手当金の支給を受けることが可能になることから、1年6か月、当事務所の方で毎月の手続きを代行する流れとなりました。

直近で健康保険に提出する傷病手当金支給申請書には、少なくとも月末までのお休みについて、後日、勤務先の証明が必要になる書類を取得しなければならない状況でしたが、「職場の方が、本当に書いてくれるのか、不安です。」というお話があったので、

健康保険法施行規則(証明書の発行等)
第三十三条 事業主は、保険給付を受けようとする者からこの省令の規定による証明書を求められたとき、又は第百十条の規定による証明の記載を求められたときは、正当な理由がなければ拒むことができない。

という法令のご案内もし、大丈夫ですよ、とお声がけしました。
また、念のため、退職届が不要であることも、お伝えしました。

離職理由は「重責解雇」

傷病手当金の支給終了後の就職活動を見据え、直近ではお仕事ができないことから、ハローワークの方へ雇用保険の受給期間延長申請も行う流れとなり、当事務所の方で、ハローワークとのやり取りも開始し、念のため、勤務先が作成した離職票を確認することになりました。

そこで、雇用保険被保険者離職票-2の離職理由を見ると、事業主記入欄には、「重責解雇」に〇。話し合いを重ねて、退職することになった従業員に対して、何を思ったのか、この仕打ち。

ご体調以外、何ら責められることが無いことは明確で、確認が進むと「場所を見誤った手違いだった」という手紙と一緒に、訂正された離職証明書がご自宅に届くことになりました。

これで、ハローワークの方へ雇用保険の受給期間延長申請も、無事に行うことができています。

傷病手当金から障害年金へ

傷病手当金も支給が開始され、ここから、都度、当事務所の方で、書類を健康保険の窓口に提出し、長い期間、お休みして貰うことになりました。

お気持ちの整理にも時間がかかりますので、これで良かったのだと思います。

その後、傷病手当金の支給が終了する半年前より、障害年金の手続きも進め、障害厚生年金3級で受給権が発生。

傷病手当金の支給終了後には、主治医の先生に、就労可否に関する証明書を作成いただき、就労可能、というご判断があったことから、こちらをハローワークに提出。

就職活動が可能となり、雇用保険からの給付(基本手当)と障害年金で過ごしながら、新しい生活をスタートする、という形となりました。

尚、就職活動を開始される前に、障害年金の年金証書等により、自治体より、精神障害者保健福祉手帳も取得されていたので、基本手当の所定給付日数は就職困難者としてのものになっています。

労災か私傷病か

メンタルの不調から不本意な形で職場を去る、という流れになっている方から「これは労災ではないのか?」というお問い合わせを受けることが多々あります。

パワハラ紛いの扱いを受け、納得がいかない、というお気持ちや、将来への不安感もあり、勤務先の責任を問う、という思考から離れることができず、冷静になれない方は多いです。

それでも、保険の趣旨、本質を理解しつつ、経緯や置かれている状況から、適切な給付を受けることが大切です。

お仕事をする中で、ご体調を崩される方は本当に多くいます。
そんな体調不良の中、専門家の活用を検討いただいても良いと思います。

参考

傷病手当金と障害年金の支給調整

精神の障害年金と就労の関係

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

社会保険労務士事務所を開業して、色々な方の手続きに関わりましたが、少し振り返る余裕が出てきたように思います。

今回は、本当にお問い合わせの中で多くご質問を受ける「精神の障害年金と就労の関係」について、書いてみたいと思います。

精神の障害年金と就労の関係

まず、精神・知的障害の障害年金では病名ごとに等級認定の基準があり、就労の捉え方も異なります。

そして、等級認定の審査においては、治療経過、日常生活状況、診断書上の主治医の先生の所見等、判断の要素が多岐に亘り、一般雇用で、厚生年金保険に加入され、フルタイム勤務をされている方でも、2級の受給権発生まで至ることもあれば、福祉的就労もできず、無職であった方にもかかわらず、不支給となることもあります。

ケースバイケースの要素が大きく、色々な手続きに関わっていなければ、分からない点も多くあります。

実態として

よく、「いくらまで収入を得ていると不支給になりますか?」という質問を受けますが、精神の障害年金では、健康保険の被扶養者のように、収入要件で一律に等級を区切っておらず、実態として、労働に制限を受けているのか、という点が重要になります。

例えば、一般雇用でも、入社後にご病気になり(もしくは、ご病気であることが分かり)、ご病気に理解のある職場において、難しい仕事を複数掛け持ち、社内での連絡調整をしながら、プロジェクトを推進することができないので、本来、採用された際に期待されていた役割と異なり、簡単な仕事をすることになるケースがあります。

この場合、社内報を各部署に配布したり、帳票を綴ったり、テプラでファイル整理をしたり、形式的には一般雇用でも、実態として簡易な単純作業のみ従事し、労働に制限を受けている状態の方、として、障害等級に該当する場合があります。

無職の状態でも

無職である、ということが、実態としてお仕事ができない状態と同じであるか、という視点も重要です。

病名や初診日において加入されていた制度によっても異なりますが、特に単身で生活されている方は、実態として、福祉サービス等、何の支援も受けず、日常生活に制限を受けていないのであれば、障害等級に該当しないケースがあります。

また、かなり前ですが、無職の状態で親元で生活されていて、入院生活もあり、障害年金請求の手続きを進めた方がいたのですが、不支給決定となり、不服申立てを行い、新しい証拠も提出し、社会保険審査会の公開審理では、中立な立場の参与の方からも、障害等級に該当する、とおっしゃっていただきましたが、棄却され、郵送されてきた裁決書では、理由の全てではありませんが、「その後の厚生年金保険の加入歴から、障害認定日の時点において、就職活動をすることが可能だったと判断できる」旨の記載があり、障害認定日による請求(所謂、遡及請求)では、その後の経過についても、重要であることは確かです。

日常生活状況や治療経過等、審査の項目は多岐に亘りますので、無職(もしくは休職)の状態であることのみで、障害年金が受給できる、とは判断できません。

ヒアリングにおいて

病名ごとに異なる基準で審査が行われていますので、お問い合わせいただいた方には、実態として、障害年金で謂う所の障害等級に該当するか、どうか、という点でヒアリングをさせていただきます。

就労以外の色々な面から障害年金を受給できる可能性を判断しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

参考

障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

障害年金相談番外編(知人や遠い親族、違法な依頼、AI教)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
本当に小さな事務所ですが、色々なお問い合わせをいただき、都度、真摯にご対応させていただいております。現在までに記録している直近2000件のご相談内容を整理、振り返る中、ちょっと困ったな、と思った類の相談のパターンが見えてきたので、番外編として、ご紹介します。

ご本人様以外の方からのお問い合わせ

直近の2000件のご相談の中で、ご本人様以外の方からのお問い合わせは7.1%でした。

正直、ご家族からのお問い合わせであれば、色々とヒアリングができる可能性があり、全く問題ありませんが、知人、友人です、という方や、甥、姪、叔父伯母等少し遠い親族の方だと、ご本人様の国民年金保険料の納付状況はほとんど知らない、ということになり、請求自体が成立するのか、という「そもそも論」から入る必要があり、電話での会話が何のための時間なのか、分からなくなってしまうことがあります。

ご病状を深く理解しているようにも考えられず、ご本人様の意向として、本当に障害年金の請求を希望されているのか?と疑問に感じるケースもあります。

本来の初診日を認めたくない方等

明らかな違法行為についての依頼、と考えられる方は0.4%でした。
法令上、

第三章 社会保険労務士の権利及び義務
(不正行為の指示等の禁止)
第十五条 社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。

第六章 罰則
第三十二条 第十五条(第二十五条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。

とされており、当事務所では応じることはありません。
かなり社会的な立場がしっかりした方が、もの凄く丁寧な口調で、
「何かあれば、そちらでどうにか(改ざんのことと考えられます。)してくれるのでよね?」と話されたりしたことがあり、寒気がしたことを覚えています。

当事務所では、調査、確認を通して収集した資料を基に、最適な形で、障害年金の受給権が発生するよう、手続きを進めております。

ChatGPT(AI)がこう言っている

これは最近、複数件、お問い合わせの会話の中で出てきた言葉です。
一定程度、人工知能が活用されることは望ましい、と思いますが、完全に間違った答えを鵜呑みにして、障害年金の手続きをかなり簡単なものと理解している方が増えてきました。

人工知能は責任を取らず、手続き自体を代行しません。

高速でデータを処理し、高度な計算によって提案を行う人工知能の利点は今後も増えていくと考えられますが、責任の所在は人間の側にあることを自覚しなければ、無責任な意見に支配されてしまい、手続き全体が不安定なものとなる可能性があります。

こんな時代だからこそ、専門家も活用し甲斐があるのではないでしょうか。

まとめ

お問い合わせをいただくことは大変有難いことですが、お互いにとって無意味な時間になることは良いことではないと思います。ご紹介したパターンのお問い合わせで見えてくる背景としては、障害年金の手続きは、請求する方の人生に大きく影響を及ぼす重要なもの、という視点が抜け落ちていることです。

障害等級等によって、支給される金額の差はありますが、生きていく過程で、2か月に1回、お金が振り込まれる、ということを生じさせる手続きが簡単なはずがない、という基本的な認識を元々持っている方か、そうでないか、という点は、この手続きの話だけでは済まないテーマかもしれません。

お一人お一人の生き方、考え方がお問い合わせの中に現れているように感じます。

東京都にお住まいの双極性感情障害を治療されているお客様の更新時無料アドバイス後の声(障害基礎年金2級で受給権発生)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の対応はいかがでしたでしょうか。

・問い合わせへの対応がとても早く、不安な中でも安心してやり取りを進めることができました。質問すると、1つひとつ具体的に、噛みくだいて説明してくださるので、複雑な手続きも少しずつ理解することができました。

・こちらの状況に応じてスケジュール調整してくださるなど、柔軟に対応していただけたこともとても有り難かったです。きちんと耳を傾けてくださり、安心して相談できました。

・同じような質問をくり返してしまった際も、嫌な顔せず、丁寧に対応してくださり、信頼が深まりました。「この方にお願いして難しければ仕方ない」と思えたほど、誠実に向き合ってくださいました。

・手続きの難しさへの不安や焦りを支えていただき、本当に感謝しています。

Q. 今はうつ病で心療内科に通っていますが、最初に体調を崩したときは内科にかかっていました。初診日はどちらになりますか?

A. 初診日は診療科ではなく「うつ病の原因となった症状で初めて医師にかかった日」で判断するため、最初にかかった内科が初診日になる可能性が高いです。

国の障害認定基準のとおり、メンタル関係の初診日は精神科、心療内科を標榜する診療科における受診に限定されません。

うつ病でも、不眠・頭痛・倦怠感などで最初に受診した内科・産婦人科・外科などが初診日と認定されることがあります。

年金事務所への書類提出後、照会によって、追加の資料提出を求められることもあり、初診日が過去にさかのぼると、その時点で加入していた年金制度が厚生年金保険から国民年金に変わり、受給できる年金の種類や金額(当事務所の受給実績では年額約80万〜140万円)が変わることがあります。

見通しを誤ると手続き全体が混乱するため、最初の切り分けが重要です。様々な可能性を考慮して、当事務所では、障害基礎年金と障害給付(障害基礎年金と障害厚生年金)の同時請求を行うこともあります。

カルテの保存期間を過ぎて初診の証明が取りにくい場合でも、受診状況等証明書に代わる資料で立証する方法を検討します。

当事務所は関係者と「戦わずして」受給まで進める方針で、350件以上の実績があります。

どの受診日が初診日になるかは個別の経過により異なります。判断を誤らないためにも、無料相談で受診歴を整理することをおすすめします(詳細は事前のお見積り・面談でご確認ください)。

Q. うつ病で障害年金を申請したいのですが、最初にかかった病院がいつだったか思い出せません。初診日がわからなくても請求できますか?

A1. 初診日が今すぐ思い出せなくても、障害年金の請求をあきらめる必要はありません。
まず、初診日とは「うつ病の原因となった症状で初めて医師の診療を受けた日」を指します。精神科・心療内科に限らず、不眠や倦怠感などで最初にかかった内科なども対象になるため、思い当たる受診歴をすべて洗い出すことから始めます。

当事務所は精神・知的障害の分野のみで請求代行実績が350件以上あり、診察券・お薬手帳・領収書・紹介状といった周辺資料から初診日を組み立てる作業を数多く手がけてきました。

初診の病院と現在の病院が違う場合は「受診状況等証明書」を初診の病院で作成しますが、廃院やカルテ廃棄で取得が難しいときも、ご依頼いただければ、既にお手元にある資料や国民年金保険料、厚生年金保険料の納付状況等から、通達で許容されている手続きが可能であるか、検討しつつ、代わりとなる資料を収集します。

ケースバイケースですが、複数枚、受診状況等証明書が必要になる場合もあり、注意が必要です。

費用は着手金0円・報酬完全後払い制で、手続きは郵送・電話・メールのみ、全国どこからでも完結できます(事務所は東京都千代田区神田三崎町/JR 水道橋駅徒歩3分)。

初診日の認定は個別のご事情により結論が変わります。まずは無料相談で受診の経過をお聞かせください(詳細は事前の面談でご確認ください)。

障害年金請求思い出3選(死後の請求、未納ONLY、ギリ)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
本当に小さな事務所ですが、色々なお問い合わせをいただき、都度、真摯にご対応させていただいております。現在までに記録している直近2000件のご相談内容を整理、振り返る中、思い出に残っている方を紹介します。

死後の請求

「妻が自殺してしまいました。」というお問い合わせがあり、遺族年金の請求をしつつ、過去の症状に関する診断書を取り寄せ、障害年金としては、障害認定日による請求を行う、という方針で手続きを進めていた方がいました。障害年金については、死後であっても、障害認定日時点のカルテがあれば、その時点の診断書によって障害年金の請求を行うことができます。

ご本人様がお亡くなりになっていても、さかのぼり受給が決まれば、何か少しでも、今後の助けになったのだと思います。

しかし、現実は厳しいものでした。

旦那様から聞いていた治療経過に基づき、資料の収集をしていくと、ご結婚される前からメンタル関係の治療をされていて、当初の想定より遥か前の時点に初診日があることが分かりました。かなり無理な形で請求手続きを進めましたが、障害認定日の時点においては、通院はされていても、障害等級に該当するような状態ではなく、結果、不支給となりました。

長い結婚生活の中で、ご夫婦の間でもお話していなかったことがあり、そのことを、私の方が先に知ってしまう、という出来事から、この仕事は正直、大変だな、と感じたことを今でも覚えています。

公的な給付に関しては、遺族年金が残ったことが、唯一の救い、と解釈せざるを得ない出来事でした。

未納しかない中で

この未納を示す記号(*)だらけの納付記録を年金事務所窓口で確認し、「これは大変だ」と思ったことを覚えています。(お問い合わせの段階で、どういう意図なのか、未納は無い、とおっしゃっていましたから。)それでも、この方については、受給権発生まで手続きし、5年分のさかのぼり受給にもなっています。障害年金に詳しい方であれば、「20歳前の傷病による障害基礎年金だろう。」と考える方もいると思います。しかし、この方は20歳前傷病として手続きしていません。

法令上、

国民年金法 (支給要件)

第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。

とあり、但し書きにあるとおり「初診日の属する月の前々月までに被保険者期間」がある方は、保険料納付済期間と保険料免除期間を問われることになっています。

日本に住んでいる場合、国籍を問わず、20歳の誕生日の前日のある月から国民年金への加入が義務となっていますが、この方は、20歳の誕生日の前日のある月の翌々月に初診日があり、「初診日の属する月の前々月までに被保険者期間」の無い方でした。加入直後に初診日があるため、保険料について問われることがなく、20歳前傷病に基づく障害基礎年金でもない、というケースです。尚、20歳到達以後、1年6か月程度は、未納のままですが、障害基礎年金2級の受給権が発生し、今はほとんど全てが法定免除となっています。今後、ご病気が回復され、仮に65歳以降に老齢基礎年金を受給することになっても、法定免除期間は半額納付扱いとして記録され、その分の年金額は老後の安心に繋がるはずです。

あと1日遅かったら

請求手続き自体は、障害基礎年金2級で受給権が発生し、現在も受給中の方ですが、この方も、納付記録を年金事務所窓口で受け取った際、「これは際どい」と思ったことを覚えています。法令上、

第九十条 次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(中略)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあつた日以後、当該保険料に係る期間を第五条第三項に規定する保険料全額免除期間(第九十四条第一項の規定により追納が行われた場合にあつては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。(中略)
2 前項の規定による処分があつたときは、年金給付の支給要件及び額に関する規定の適用については、その処分は、当該申請のあつた日にされたものとみなす。

第九十条の三 次の各号のいずれかに該当する学生等である被保険者又は学生等であつた被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(学生等である期間又は学生等であつた期間に限る。)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあつた日以後、当該保険料に係る期間を第五条第三項に規定する保険料全額免除期間(中略)に算入することができる。
(中略)
2 第九十条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項第一号に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。

となっています。この「申請のあつた日にされたものとみなす。」という部分がポイントです。

この方の学生納付特例の申請日は平成23年3月30日、初診日は平成23年3月31日でした。本当に、あと1日、学生納付特例の申請が遅れていれば、「当該傷病に係る初診日の前日において」、20歳の誕生日の前日のある月から「当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間」がありますから、ここは全て未納、という結果になっていたのです。

まとめ

初診日が想定より遥か前の時点にあった場合、納付や免除申請の状況等、当事務所が関与する前に起きている出来事を整理して、全ては法令に基づき、「事務」として、どう進めるか、という点から考えながら、日々、色々な方と向き合っていますが、何とかなる場合とならない場合があります。

特に、国民年金保険料が未納となること、免除申請が遅れることは決して良いことではありませんので、保険料の問題は簡単に考えず、一人一人が真剣に向き合っていただくことを願っています。

参考

国民年金保険料の学生納付特例制度

印象に残った方(障害年金の相談レアケース3件)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
本当に小さな事務所ですが、色々なお問い合わせをいただき、都度、真摯にご対応させていただいております。現在までに記録している直近2000件のご相談内容を整理、振り返る中、この相談は他の方とは質が違う、と感じる部分があったので、紹介します。

特級を求める方

既に障害厚生年金1級を受給している方で、障害年金の年金額について、増額を希望し、何らかの手続きがあれば、教えて欲しい、という内容のご相談でした。障害年金制度として、法令上、1級が上限であることをご説明したところ、現在、有期5年(5年に1回、日本年金機構に診断書提出が必要な方)で認定されているので、永久認定(今後、日本年金機構に診断書提出が不要な方)するために不服申し立てはできないか、というお話があり、審査請求では対象外であることをお伝えしました。
さらに、「5年に1回の通院で、1級相当の診断書を作成してくれる医師を紹介してください。」というご要望があり、ご要望にお応えできない旨、回答し、電話を終えています。

「物は相談」と言っても

お母様の件、ということでご子息から連絡があり、「発達障害関連の病名診断が受けた母が障害年金の請求をする中で、専門的職業の方(社会保険労務士ではありません。)に相談しながら手続きを進め、障害認定日時点の症状が記載された診断書と直近の症状が記載された診断書2枚を取得したところ、障害認定日時点において、軽作業に従事されていた旨、診断書に記載があり、このままでは障害認定日時点から受給権が発生することにならないのではないか、という不安から、何か病名が増えた方が良い、と勝手に考えた相談相手の方が『知的障害の診断を受けられるのであれば、受けた方が良い』とアドバイスをしてしまい、検査を受け、知的障害の病名診断に至ったことで、初診日が出生日、障害認定日が20歳の誕生日の前日になり、20歳の誕生日の前日前後3か月間では通院が無かったことから、障害認定日による請求ができなくなった。」というものでした。

より正確な病名診断を受けたことで、医療機関での治療は充実していくのだと思いますが、当事務所のヒアリングでは、十分、当初の状態で障害認定日時点から受給権が発生すると考えられる診断書内容でしたので、相談相手を選ぶ段階で、何かを見間違えていた、と思わざるを得ない相談でした。当事務所としての見解を伝え、その後、連絡はありません。

共済組合×3

この方は市役所職員(A共済組合)→公立学校職員(B共済組合)→都道府県職員(C共済組合)という流れで転職をされている方で、受任し、受給権発生まで手続きをしたのですが、治療経過として、初診日A共済組合加入期間中にあり、障害認定日B共済組合加入期間中にあり、直近はC共済組合加入中となっていました。

この場合、障害認定日時点の症状の審査はB共済組合、直近の症状の審査はC共済組合が行う、という形になるのですが、当事務所の方針として、C共済組合の審査が非常に厳しいことが想定できることや、直近の状況として、お仕事をお休みしている段階にあったこと等により、すぐに直近の症状に係る請求を行った方が良い、と判断し、手続きを進め、障害厚生年金3級で受給権発生しました。

その後、障害認定日時点の診断書を取り寄せ、B共済組合に請求し、ここでは、障害厚生年金2級となり、5年分のさかのぼり受給が行われ、B共済組合の審査結果と更新の時期の影響により、C共済組合でも障害厚生年金3級が2級に変更される、という経過を辿りました。B共済組合の審査結果により全てがひっくり返り、ご本人様は「奇跡が起きたのかと思った。」とお話していました。

まとめ

たった2000件のお問い合わせの中にも色々な方がいます。今回ご紹介した3件は、他の方のパターンとは違う、と感じた方々でした。世の中は広いので、奇想天外な思考、一筋縄ではいかない複雑な状況に陥っている方は、もっと沢山いると思われます。

お一人で色々な問題を抱え込んだりすれば、不安、不満が募りますし、相談相手を間違えれば、思いもよらない結果を招くこともあります。

良い未来のために、一つ一つの問題を分解し、丁寧に向き合うことが大事です。

障害年金の更新 その2(その後の治療経過等が大事です)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
本当に小さな事務所ですが、色々なお問い合わせをいただき、都度、真摯にご対応させていただいております。

以前、障害年金の更新について、記事を書いたことがありましたが、現在までに記録している直近2000件のご相談内容を整理したところ、4.4%の方は既に受給権発生に至っている方で、更新の時に不安がある、というご事情であることが分かり、再度、書いてみたい、と思います。

通院をしなくなってしまった

障害年金を受給してから、通院をしなくなってしまった、という方が一定数います。
年金証書すら紛失し、次回診断書提出年月も分からないまま過ごし、
更新の診断書が日本年金機構から自宅に届き、「どうしよう…」となっている方、環境の変化によって、通院しない(できない)まま過ぎてしまった、面倒だったという方等、様々ですが、如何なる事情にせよ、通院をしていない、ということであれば、通院をせずに過ごすことができた、ということでもあり、また、突然、通院を再開されても、中断期間の経過が主治医の先生には分らず、診断書の作成が進まないことがあります。

本当の意味で、お元気になられて、主治医の先生からも、問題が無い、というご判断があって、通院しないまま過ごしていた、ということであれば、良いのですが、少しは元気になってきた、(でも、障害年金が無くなってしまっては困る)という位であれば、自己判断に頼って、通院を中断することは、お勧めできません。

転院の有無

通院は継続していても、転院されている、という方も大勢います。
この場合、裁定請求(障害年金の受給権を発生させるための請求)の時に診断書を作成していただいた主治医の先生から離れ、別の先生の下で治療が続いている、ということになりますが、お医者様ごとに医学的なご判断をされますので、意外にも病名や日常生活の程度等が大きく変わることがあります。ご高齢等のご事情で引退されたお医者様の下で治療をされていた方で、仕方なく転院した挙句、全く違う治療方針になってしまった方もいらっしゃり、少なくとも転院する際は必ず、裁定請求の時の診断書の写しを持って、受診してください。(※1)

就労状況について

通院を継続し、転院もしていないけれど、少しは元気になってきた(障害年金が受給できた、という安心感もあるのかもしれません。)ので、お仕事に就く方も多いです。
精神・知的障害の障害年金では、この就労状況について、審査のポイントになる部分であり、「少しは元気になってきたけれど、障害年金の支給が停止しても困る」という微妙な状況にお悩みになり、どうすればいいのでしょうか、という問い合わせが多くあります。(※2)この部分は病名等により、等級認定の考え方が異なり、難しい分野です。せっかく障害年金の受給権が発生したにもかかわらず、支給停止が怖い、という考えの下、思い切ってお仕事ができない、という悩みを持つ方は多いのですが、少なくとも、仮に支給が停止したとしても、再度、体調が悪化された、ということであれば、支給を再開する手続きがありますので、あまり気にされる必要はない、とも思います。

日常生活状況等について

生きていれば、ライフステージの変化があり、こちらが障害年金に影響することもあります。結婚、離婚、転居等、人それぞれです。障害年金の等級認定に際して、日常生活活動能力について審査が行われますので、より自立していく方向になっている場合、お元気になってきた、ということにもなります。主治医の先生のご指導、治療の下、経過が良好であり、お体の具合が良い方向に向かっている、ということであれば、障害年金は支給停止となり、逆に不運が重なり、症状が悪化されている、ということであれば、額改定請求(上位等級への改定請求)を検討しなければなりません。

まとめ

受給権発生後の治療経過、日常生活状況、就労等、更新に際して、様々な審査が行われます。
ケースバイケースの世界ですが、支給停止=もう二度と障害年金が受給できない、ではない、と知っておくだけでも、心が軽くなるのではないでしょうか。人生山あり谷ありですから、お元気な時は支給が停止し、また症状が悪化されたときは、支給を再開する手続きを行う、ということで良いと思います。

※1 当事務所では、お客様の障害年金の請求手続きが完了した後、ご報告のお手紙と併せて、提出した診断書の写しをご自宅に郵送しております。

※2 当事務所では、当事務所にて手続きを行ったお客様に、受給権発生後のサービスとして更新時に無料でアドバイスをしています。治療経過等、詳細な確認が必要になるため、ご自身で手続きし、障害年金を受給されている方、他の事務所にて手続きが行われ、障害年金を受給されている方のお問い合わせは受け付けておりません。

障害年金を請求するメリットが無い場合もあります

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
本当に小さな事務所ですが、色々なお問い合わせをいただき、都度、真摯にご対応させていただいております。現在までに記録している直近2000件のご相談内容をさらに整理したので、こちら、ご紹介します。

65歳以上の方

直近の2000件のご相談の中で、2.2%の方は、現在65歳以上で、老齢年金を受給されている方でした。

障害年金は65歳を過ぎると、直近の症状が審査されることによって受給権が発生することがなく、手続きの可能性が極めて狭まる、という仕組みになっています。原則、老齢年金の受給が開始される年齢でもあり、一部を除き、老齢年金と障害年金は同時に受給することはできませんので、既に老齢年金を受給されている方については、障害年金の請求をするメリットが無い場合もあります。

生活保護受給中の方

3.1%の方は、生活保護を受給されている方でした。

生活保護は「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」として位置づけられており、本来であれば、障害年金を請求し、それでも、なお、生活に困窮する、という流れの中で活用される制度ですが、色々な事情の中で、障害年金の請求をせずに生活保護が開始され、生活保護を受けている中で、障害年金の請求を検討する方が多くいます。

当事務所のメールでのお問い合わせフォームやQ&Aにも、記載しているのですが、障害年金と生活保護は支給調整関係にあり、生活保護を受けている方は、障害年金の受給が開始されても、障害年金が「収入」という形で、生活保護で規定されている最低生活費から控除されてしまいますので、実質、障害年金を請求しても、その方にとってはメリットが無い、という形になってしまいます。(自治体は助かるのだと思いますが。)

当事務所では、お問い合わせがあった方のニーズを把握し、特に、今後、生活保護の廃止を目指されているのか、どうか、という点に着目しています。

もし、廃止が検討されているのであれば、生活保護を受けている間に障害年金の受給権が発生すれば、廃止後に、障害年金がその方の自立に大きく貢献するからです。

障害厚生年金が支給される可能性があり、傷病手当金の支給が優先される方

1.4%の方は、まず傷病手当金の請求が優先される方でした。

障害年金と傷病手当金は、同一傷病で障害厚生年金の支給がある場合、支給調整関係にあります。

障害基礎年金のみ支給が予定されている方の場合は気にすることは無いのですが、初診日が明らかに厚生年金保険加入期間中にあり、もう精神的に限界で休職する方向で調整している、という方は、まず傷病手当金を請求し、1年程度、お休みしていただき、傷病手当金の支給が終了する半年前位に障害年金を請求する流れになります。これは、傷病手当金と障害年金の支給が重複する期間について、障害年金を受給しても、メリットを感じることができず、また、健康保険からの返還通知等により、手続きが複雑化し、心理的なご負担が発生する可能性があるからです。

1年程度休むと、「傷病手当金支給終了後、どのように生きていくか」というテーマの答えがお客様ごとに出ていますので、復職するにしても、障害者雇用でお仕事を続けるにしても、もう少しお休みを続けるにしても、良い形で障害年金の等級認定が着地することが多いです。

逆に、少しお休みした後、障害者雇用や短時間勤務等で復職する、という予定があるのであれば、報酬(つまり、お給料です。)と障害年金は支給調整関係に無いので、障害年金を受給しながらお仕事をする、という道に進むために、すぐに障害年金を請求する、という場合もあります。

この部分は本当にケースバイケースなので、ご判断に迷われている方は、早めにお問い合わせください。

まとめ

老齢年金、生活保護、傷病手当金等、障害年金は他の給付と支給調整関係にあり、請求するメリットがある場合と無い場合があります。様々な制度との関係を横断的な視点で分析し、最適な形に着地するためには、早めにご相談いただくことが重要になってきます。

納得できる人生を歩むためにも、専門家の活用をご検討いただいても良いのではないでしょうか。

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