2026年9月
退職勧奨後の障害年金請求
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
社会保険労務士事務所を開業して、色々な方の手続きに関わりましたが、少し振り返る余裕が出てきたように思います。
今回は、お手続きした方の振り返りから、退職勧奨後の障害年金請求、という題で書いてみたい、と思います。
現在、退職勧奨を受けています。
ある週の金曜日のお昼過ぎにお問い合わせを受けた方から、お話を伺うと、現在、メンタル関係のご病気で、医療機関に通院し、ご勤務先からは、退職勧奨を受けており、週明けには、今後のことについてご勤務先と話し合う予定になっている、という状況でした。
当事務所所定のご質問にご回答いただいた後、今後は、公的な給付を受けつつ、少し休みたい、というお申し出もあり、当事務所では、まず、傷病手当金の支給申請が優先される、と判断できましたので、今後の流れをご説明し、電話を終えました。
週明け、事務所に来てみると、メールが届いており、有休消化の後、月末までに退職、ということで決まった、という内容のものでした。
今後、どうしたらよいのか、正直途方に暮れているところです。
当事務所の方にもご来所いただき、障害年金については、メンタル関係の初診日が明らかに厚生年金保険加入期間中にあり、障害厚生年金の支給が予定されていることから、傷病手当金との支給調整を考慮し、一旦、保留とし、1年以上、健康保険へ加入されていたので、資格喪失後の継続給付として、退職後も傷病手当金の支給を受けることが可能になることから、1年6か月、当事務所の方で毎月の手続きを代行する流れとなりました。
直近で健康保険に提出する傷病手当金支給申請書には、少なくとも月末までのお休みについて、後日、勤務先の証明が必要になる書類を取得しなければならない状況でしたが、「職場の方が、本当に書いてくれるのか、不安です。」というお話があったので、
健康保険法施行規則(証明書の発行等)
第三十三条 事業主は、保険給付を受けようとする者からこの省令の規定による証明書を求められたとき、又は第百十条の規定による証明の記載を求められたときは、正当な理由がなければ拒むことができない。
という法令のご案内もし、大丈夫ですよ、とお声がけしました。
また、念のため、退職届が不要であることも、お伝えしました。
離職理由は「重責解雇」
傷病手当金の支給終了後の就職活動を見据え、直近ではお仕事ができないことから、ハローワークの方へ雇用保険の受給期間延長申請も行う流れとなり、当事務所の方で、ハローワークとのやり取りも開始し、念のため、勤務先が作成した離職票を確認することになりました。
そこで、雇用保険被保険者離職票-2の離職理由を見ると、事業主記入欄には、「重責解雇」に〇。話し合いを重ねて、退職することになった従業員に対して、何を思ったのか、この仕打ち。
ご体調以外、何ら責められることが無いことは明確で、確認が進むと「場所を見誤った手違いだった」という手紙と一緒に、訂正された離職証明書がご自宅に届くことになりました。
これで、ハローワークの方へ雇用保険の受給期間延長申請も、無事に行うことができています。
傷病手当金から障害年金へ
傷病手当金も支給が開始され、ここから、都度、当事務所の方で、書類を健康保険の窓口に提出し、長い期間、お休みして貰うことになりました。
お気持ちの整理にも時間がかかりますので、これで良かったのだと思います。
その後、傷病手当金の支給が終了する半年前より、障害年金の手続きも進め、障害厚生年金3級で受給権が発生。
傷病手当金の支給終了後には、主治医の先生に、就労可否に関する証明書を作成いただき、就労可能、というご判断があったことから、こちらをハローワークに提出。
就職活動が可能となり、雇用保険からの給付(基本手当)と障害年金で過ごしながら、新しい生活をスタートする、という形となりました。
尚、就職活動を開始される前に、障害年金の年金証書等により、自治体より、精神障害者保健福祉手帳も取得されていたので、基本手当の所定給付日数は就職困難者としてのものになっています。
労災か私傷病か
メンタルの不調から不本意な形で職場を去る、という流れになっている方から「これは労災ではないのか?」というお問い合わせを受けることが多々あります。
パワハラ紛いの扱いを受け、納得がいかない、というお気持ちや、将来への不安感もあり、勤務先の責任を問う、という思考から離れることができず、冷静になれない方は多いです。
それでも、保険の趣旨、本質を理解しつつ、経緯や置かれている状況から、適切な給付を受けることが大切です。
お仕事をする中で、ご体調を崩される方は本当に多くいます。
そんな体調不良の中、専門家の活用を検討いただいても良いと思います。
参考
精神の障害年金と就労の関係
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
社会保険労務士事務所を開業して、色々な方の手続きに関わりましたが、少し振り返る余裕が出てきたように思います。
今回は、本当にお問い合わせの中で多くご質問を受ける「精神の障害年金と就労の関係」について、書いてみたいと思います。
精神の障害年金と就労の関係
まず、精神・知的障害の障害年金では病名ごとに等級認定の基準があり、就労の捉え方も異なります。
そして、等級認定の審査においては、治療経過、日常生活状況、診断書上の主治医の先生の所見等、判断の要素が多岐に亘り、一般雇用で、厚生年金保険に加入され、フルタイム勤務をされている方でも、2級の受給権発生まで至ることもあれば、福祉的就労もできず、無職であった方にもかかわらず、不支給となることもあります。
ケースバイケースの要素が大きく、色々な手続きに関わっていなければ、分からない点も多くあります。
実態として
よく、「いくらまで収入を得ていると不支給になりますか?」という質問を受けますが、精神の障害年金では、健康保険の被扶養者のように、収入要件で一律に等級を区切っておらず、実態として、労働に制限を受けているのか、という点が重要になります。
例えば、一般雇用でも、入社後にご病気になり(もしくは、ご病気であることが分かり)、ご病気に理解のある職場において、難しい仕事を複数掛け持ち、社内での連絡調整をしながら、プロジェクトを推進することができないので、本来、採用された際に期待されていた役割と異なり、簡単な仕事をすることになるケースがあります。
この場合、社内報を各部署に配布したり、帳票を綴ったり、テプラでファイル整理をしたり、形式的には一般雇用でも、実態として簡易な単純作業のみ従事し、労働に制限を受けている状態の方、として、障害等級に該当する場合があります。
無職の状態でも
無職である、ということが、実態としてお仕事ができない状態と同じであるか、という視点も重要です。
病名や初診日において加入されていた制度によっても異なりますが、特に単身で生活されている方は、実態として、福祉サービス等、何の支援も受けず、日常生活に制限を受けていないのであれば、障害等級に該当しないケースがあります。
また、かなり前ですが、無職の状態で親元で生活されていて、入院生活もあり、障害年金請求の手続きを進めた方がいたのですが、不支給決定となり、不服申立てを行い、新しい証拠も提出し、社会保険審査会の公開審理では、中立な立場の参与の方からも、障害等級に該当する、とおっしゃっていただきましたが、棄却され、郵送されてきた裁決書では、理由の全てではありませんが、「その後の厚生年金保険の加入歴から、障害認定日の時点において、就職活動をすることが可能だったと判断できる」旨の記載があり、障害認定日による請求(所謂、遡及請求)では、その後の経過についても、重要であることは確かです。
日常生活状況や治療経過等、審査の項目は多岐に亘りますので、無職(もしくは休職)の状態であることのみで、障害年金が受給できる、とは判断できません。
ヒアリングにおいて
病名ごとに異なる基準で審査が行われていますので、お問い合わせいただいた方には、実態として、障害年金で謂う所の障害等級に該当するか、どうか、という点でヒアリングをさせていただきます。
就労以外の色々な面から障害年金を受給できる可能性を判断しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

