障害年金を請求するメリットが無い場合もあります
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
本当に小さな事務所ですが、色々なお問い合わせをいただき、都度、真摯にご対応させていただいております。現在までに記録している直近2000件のご相談内容をさらに整理したので、こちら、ご紹介します。
65歳以上の方
直近の2000件のご相談の中で、2.2%の方は、現在65歳以上で、老齢年金を受給されている方でした。
障害年金は65歳を過ぎると、直近の症状が審査されることによって受給権が発生することがなく、手続きの可能性が極めて狭まる、という仕組みになっています。原則、老齢年金の受給が開始される年齢でもあり、一部を除き、老齢年金と障害年金は同時に受給することはできませんので、既に老齢年金を受給されている方については、障害年金の請求をするメリットが無い場合もあります。
生活保護受給中の方
3.1%の方は、生活保護を受給されている方でした。
生活保護は「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」として位置づけられており、本来であれば、障害年金を請求し、それでも、なお、生活に困窮する、という流れの中で活用される制度ですが、色々な事情の中で、障害年金の請求をせずに生活保護が開始され、生活保護を受けている中で、障害年金の請求を検討する方が多くいます。
当事務所のメールでのお問い合わせフォームやQ&Aにも、記載しているのですが、障害年金と生活保護は支給調整関係にあり、生活保護を受けている方は、障害年金の受給が開始されても、障害年金が「収入」という形で、生活保護で規定されている最低生活費から控除されてしまいますので、実質、障害年金を請求しても、その方にとってはメリットが無い、という形になってしまいます。(自治体は助かるのだと思いますが。)
当事務所では、お問い合わせがあった方のニーズを把握し、特に、今後、生活保護の廃止を目指されているのか、どうか、という点に着目しています。
もし、廃止が検討されているのであれば、生活保護を受けている間に障害年金の受給権が発生すれば、廃止後に、障害年金がその方の自立に大きく貢献するからです。
障害厚生年金が支給される可能性があり、傷病手当金の支給が優先される方
1.4%の方は、まず傷病手当金の請求が優先される方でした。
障害年金と傷病手当金は、同一傷病で障害厚生年金の支給がある場合、支給調整関係にあります。
障害基礎年金のみ支給が予定されている方の場合は気にすることは無いのですが、初診日が明らかに厚生年金保険加入期間中にあり、もう精神的に限界で休職する方向で調整している、という方は、まず傷病手当金を請求し、1年程度、お休みしていただき、傷病手当金の支給が終了する半年前位に障害年金を請求する流れになります。これは、傷病手当金と障害年金の支給が重複する期間について、障害年金を受給しても、メリットを感じることができず、また、健康保険からの返還通知等により、手続きが複雑化し、心理的なご負担が発生する可能性があるからです。
1年程度休むと、「傷病手当金支給終了後、どのように生きていくか」というテーマの答えがお客様ごとに出ていますので、復職するにしても、障害者雇用でお仕事を続けるにしても、もう少しお休みを続けるにしても、良い形で障害年金の等級認定が着地することが多いです。
逆に、少しお休みした後、障害者雇用や短時間勤務等で復職する、という予定があるのであれば、報酬(つまり、お給料です。)と障害年金は支給調整関係に無いので、障害年金を受給しながらお仕事をする、という道に進むために、すぐに障害年金を請求する、という場合もあります。
この部分は本当にケースバイケースなので、ご判断に迷われている方は、早めにお問い合わせください。
まとめ
老齢年金、生活保護、傷病手当金等、障害年金は他の給付と支給調整関係にあり、請求するメリットがある場合と無い場合があります。様々な制度との関係を横断的な視点で分析し、最適な形に着地するためには、早めにご相談いただくことが重要になってきます。
納得できる人生を歩むためにも、専門家の活用をご検討いただいても良いのではないでしょうか。

