2019年

神経症について

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

お問い合わせをいただく中で、「神経症では障害年金は貰えないのですよね」とおっしゃる方が多く、今回は「神経症」のことを書きたいと思います。

たしかに、「原則」はそのようになっています。

しかし、障害年金では、親身になって下さっている主治医の「判断」が重要です。

障害年金の「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」で

第8節/精神の障害

精神の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準      精神の障害については、次のとおりである。

(省略)

A  統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害      

(5) 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分 に属す病態であるかを考慮し判断すること。

となっています。

残念なことに「神経症としての病名」をもって、「認定の対象とならない」という誤解が生じ、障害年金を諦めている方がおられます。

確かに、「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。」のは事実ですが、「絶対」ではありません。

私の仕事は、お客様が障害年金を受給できるようサポートすることです。

受給を希望されている方は、ぜひご相談ください。

老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給の繰上げ

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

「支給の繰上げ」をご存知でしょうか。

本来の支給開始年齢である「65歳」に到達する前に、一生涯、減額された形の年金でいいから、早く年金を貰いたい、という方のものです。

「生活する上でやむを得ない」「いつ死んでしまうかわからないし、65歳まで待てない」等、考え方は色々ですが、気を付けなければならないことがあります。

それは支給の繰上げ手続きをした後は、それ以降に起こった事故、病気による障害年金や、それまで治療されていた病気が悪化したことによる障害年金が一部請求できなくなる、ということです。

「60歳より前に初診日がある」「60歳以降も厚生年金保険等に加入している」といった方であれば可能性はあるのですが、そのようなケースはとても珍しいです。

いつ亡くなるか、いつ障害状態になってしまうのか、それは神様にしかわかりません。

「支給の繰上げ」

よく考えてから、決断を下してください。

遺族年金を受給しているケース

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、たまにある相談で遺族年金を受給されている方で、障害年金も、もらえますか?

というケースについてです。

答えはNOでもあり、YESでもあります。

年金には「一人一年金」の原則があるからです。

例えば、遺族基礎年金のみを受給されている方。

この方は、遺族基礎年金の受給権の失権を待たなければなりません。

お子さんが、ある年齢に達した場合等、遺族基礎年金の失権事由はいろいろとあるのですが、失権後でなければ、受給できません。

ここで注意しなければならないのは、「受給できない」だけであって、「受給権を取得できない」訳ではないのです。

遺族年金を受給しながら、心の病を患っておられる方は沢山います。

ここで、障害年金の受給権取得の手続きまで止められている訳ではありません。

遺族年金の失権に備え、手続きを進めておくのも一つです。

障害年金の受給権さえ取っておけば、遺族年金の失権後も、経済的な安心が続きます。

参考にしてみてください。

障害年金の支給調整2

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

前回に続き、障害年金の支給調整です。

まず、夫婦で障害年金を受給した場合で、どちらの障害年金にもお子さんの加算がつくケースがあったとします。

その場合、どちらか一方のお子さんの加算は支給停止されるでしょうか?

答えは、「支給調整無し」です。

夫婦で障害年金を受給し、どちらにも子の加算がついた場合は、どちらも受給できるのです。

なぜか?

理由は簡単で、「支給調整のルールが無いから」です。

お子さんが1人であれば、2人分の加算。お子さんが2人であれば、4人分の加算という形になるのです。

夫婦で障害年金を受給している場合の配偶者についての加給年金額はどうでしょうか。

これは夫婦とも支給停止になってしまいます。

尚、夫婦どちらか一方が、配偶者についての加給年金額がつく老齢年金を受給していた場合で、もう一方が障害年金を受給した場合も、配偶者についての加給年金額は支給停止となります。

つまり、既に夫婦どちらか一方の年金に配偶者についての加給年金額があり、さらにどちらか一方が障害年金を請求し、受給となった場合、世帯全体でみるとプラスではありますが、配偶者の加給年金額が支給停止されますので、それを考慮して生活設計をする必要があるのです。

参考 法令

厚生年金保険法第四十四条 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第三十三条の二第一項の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

第四十六条6 第四十四条第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、同項の規定によりその者について加算が行われている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

第五十四条3 第四十六条第六項の規定は、障害厚生年金について、第四十七条第一項ただし書の規定は、前項ただし書の場合について準用する。

障害年金の支給調整

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は障害年金の支給調整の話をしてみたいと思います。

お客様のケースで多いものが、既に傷病手当金を受給されている方です。

こちらと障害年金でどうなるか説明します。
(前提として、ここでは報酬や出産手当金、共済組合からの給付を考慮しません)

まず、「傷病手当金の額」より「障害厚生年金の額(さらに同じ支給事由で障害基礎年金もある場合は、その額も含む)」(以下、「障害厚生年金の額」とします。)が大きい、もしくは同額の場合ですが、この場合、「障害厚生年金の額」のみが手元に残り、「傷病手当金の額」はゼロとなります。

つぎに「傷病手当金の額」が「障害厚生年金の額」より大きい場合ですが、「傷病手当金の額」は、「障害厚生年金の額」だけ減額し、差額が手元に残り、「障害厚生年金の額」も手元に残ります。

(つまり両者の合計で、手元に残るのは結局、元の「傷病手当金の額」になります。)

ここで大事なことは、支給調整は

傷病手当金の支給事由と同じ負傷や疾病で支給される障害厚生年金を受給する場合

かつ

支給期間が重複している時期の金額

に対してされるものであって、

  1. 支給期間が重複していない場合
  2. 傷病手当金と「障害基礎年金のみ」を同時に受給する場合
  3. 傷病手当金の支給事由と無関係の負傷や疾病が支給事由の障害厚生年金を受給している場合

は支給調整は無い、ということです。両方ともそのまま手元に残ります。

さらに、気を付けなければならないことは、傷病手当金の支給調整はリアルタイムではなく、後日、健康保険組合や協会けんぽから返還請求の通知が届き、精算する形になっている為、一時的には両方の金額が口座に入ることになる点です。

支給調整を考えないで、お金を使ってしまうと返還請求が来た時に支払いができない、という問題が生じてしまうのです。

尚、「傷病手当金の額」と「障害厚生年金の額」においては、1日あたりの金額で比較する必要があり、「傷病手当金の1日あたりの金額」は

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
(下線部分の結果は5円未満切り捨て、5円以上10円に切り上げ。太字部分の結果は50銭未満切り捨て、50銭以上1円に切り上げ)

「障害厚生年金の額の1日あたりの金額」は

年金額÷360(円未満切り捨て)

となり、この計算の後、差額を出すことになります。

傷病手当金を受給中の方には、支給期間の終了直前になって、障害年金の請求を検討される方がおられます。

障害年金は手続き開始から受給までおおむね半年はかかるため、傷病手当金の支給期間の終了直前では家計に穴が空いてしまうことにもなりかねません。

早めの相談をお願いします。

次回も障害年金の支給調整の話をします。

参考資料

健康保険法

(傷病手当金)

第九十九条 被保険者(任意継続被保険者を除く。第百二条第一項において同じ。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。

2 傷病手当金の額は、一日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した十二月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。以下この項において同じ。)を平均した額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。)とする。(以下、省略)

4 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする。

(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)

第百八条
3 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる障害厚生年金の額(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき国民年金法による障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額と当該障害基礎年金の額との合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額(以下この項において「障害年金の額」という。)が、第九十九条第二項の規定により算定される額より少ないときは、当該額と次の各号に掲げる場合の区分に応じて当該各号に定める額との差額を支給する。

健康保険法施行規則

(法第百八条第三項ただし書及び第五項ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した額)

第八十九条 法第百八条第三項ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した額は、同項に規定する者の受けるべき障害厚生年金の額(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額と当該障害基礎年金の額との合算額)を三百六十で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた額)とする。

20歳前の傷病による障害基礎年金

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

国民年金の保険料は、日本に住んでいれば、国籍関係なく、特段の事情が無い限りは、厚生年金保険に入っている方や、入っている方の配偶者以外、20歳の誕生日の前日(※1)から納付義務が発生します。

毎月結構な額ですが、そんな保険料を納める必要が無い20歳の誕生日の前日より前に事故に遭ってしまった方、ご病気になられた方はどうすれば良いのか?

それが「20歳前の傷病による障害基礎年金」です。(※2)

事故やご病気で、初めて病院に行った日から1年6ヵ月経過する日が、20歳の誕生日の前日の前になるか後になるかで手続きが少し変わりますが、保険料の納付や、免除の申請が無くとも、請求する権利があるのです。

もちろん20歳を迎える前に、中学校や高校を卒業して仕事に就き、厚生年金保険に加入している間に事故に遭ってしまった方、ご病気になられた方は、「障害基礎年金・障害厚生年金」を手続きすることになりますが、そのような方でなくても「20歳前の傷病による障害基礎年金」は請求できます。

尚、似ている制度で「特別障害給付金」という制度もあります。

これは平成3年3月31日まで学生(夜間部、定時制、通信制除く)さんであった方、昭和61年3月31日まで厚生年金保険等に加入している方の配偶者であった方も、納付義務がなかった時期がありましたので、その時期に事故やご病気で通院が始まった方も障害基礎年金より少ない額ですが、請求する権利がある、というものです。

こちらは65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。

是非、ご相談ください。

※1:保険料は20歳の誕生日の前日の属する月分から

※2:所得制限があります。

保険料の免除

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

国民年金には「保険料の免除」があります。

免除されていない部分は納付しなければなりませんが、免除された部分や期間は保険料を納めていなくても、一部を除いて、正当な権利として納付要件にカウントされます。

免除の申請がしっかりなされていれば、「事故やご病気で通院する前日までに、納付要件を満たしておられる方」として、万が一の時、正当な権利として、請求によって、保険金(障害年金)が支払われる、ということになります。

「保険料の納付が無い=未納」ではないのです。

「保険料の納付が無く、免除の申請もしていない=未納」なのです。

電話でのお問い合わせで、本当に多いのですが「『保険料の免除』という制度を知りませんでした」という方です。

日本年金機構の方でも色々な形で周知しているとは思うのですが、改めて、免除の重要性を心に留めておいていただければ、と思います。

障害年金の納付要件では、あくまでも「初診日の前日まで」に免除の手続きをする必要があります。

保険料の納付が難しくなったら「保険料の免除」を申請すること。

よろしくお願いします。

参考 条文

国民年金法第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。

附 則 (昭和六〇年五月一日法律第三四号) 抄

第二十条 初診日が平成三十八年四月一日前にある傷病による障害について国民年金法第三十条第一項ただし書(同法第三十条の二第二項、同法第三十条の三第二項、同法第三十四条第五項及び同法第三十六条第三項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合においては、同法第三十条第一項ただし書中「三分の二に満たないとき」とあるのは、「三分の二に満たないとき(当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの一年間(当該初診日において被保険者でなかつた者については、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの一年間)のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないときを除く。)」とする。ただし、当該障害に係る者が当該初診日において六十五歳以上であるときは、この限りでない。

国民年金法第九十条 次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は…

2 前項の規定による処分があつたときは、年金給付の支給要件及び額に関する規定の適用については、その処分は、当該申請のあつた日にされたものとみなす。

恐怖の「*」

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島孝周です。

この仕事は世の中でほとんど知られておらず、社会保険労務士の中でも仕事としている方が少ないため、少しでも理解が進むよう、コラムを書いていきたいと思います。

また業務の中で、思ったことや、お知らせしたいことも書いていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

私の仕事の紹介ですが、この仕事ではまず、ご契約が済み、請求する権利があるかどうかの確認のため、年金事務所から、お客様の納付記録を取得します。

事前のお話から、ある程度の予想はしていくのですが、やはり、電話でのお話や、ご面談では分からなかった「未納」が出てくる時があります。

納付記録の中で、未納は「*(アスタリスク)」で表示され、それが******・・・・と並んでいると、非常に緊張します。

請求できる権利があるかどうかの確認、計算によっては、お客様の「運命」の分かれ道になってしまうからです。

私は「社会保険」の勉強が好きで、四六時中、人から見れば「小難しいこと」を考え、調べ、仕事としているので、苦になりませんが、社会保険労務士でなければ、わからないことばかりだと思います。

お客様の中には「国民年金の保険料」と「国民健康保険の保険料」を同じと思っておられる方や、単純に納付を忘れている方もいます。

障害年金は「社会保険」という「保険」の分野の一つです。

「事故やご病気で通院する前日までに、納付要件を満たしておられる方に、万が一の時、正当な権利として、請求によって、保険金(障害年金)が支払われる」

「生活保護」ではなく、基本的には「保険」です。

お忘れのないよう、お願いします。

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