「経営者」の障害年金請求(実態や経過等も大切です)
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
先日、精神の障害年金と就労の関係、神経症圏の病名での障害年金請求について記事を書きましたが、さらに理解を深めていいただくため、お手続きした方の振り返りから、「経営者」の障害年金請求(実態や経過等も大切です)、という題で書いてみたい、と思います。
就労に制限を受けている「経営者」の方
メンタル関係のご病気でしたが、その方は杖をついて来所されました。
大学院で修士号を取り、高度な専門的知識や資格を修得。
お仕事が原因でパニック発作が起きてしまい、神経症圏の病名診断を受け、治療を受けている期間が長い方でしたが、現在は、お体も弱り、一日の間、横になっている時間が長い状態、ということでした。
経営者としての立場もある中、職場で段ボールを敷いて、寝ていることもある、ともおっしゃっていました。
お問い合わせがあった時点で、当事務所所定のご質問にご回答いただき、障害年金が受給できる可能性があります、とお伝えしており、お会いした日には、治療経過がまとめられた資料を持参いただいたので、内容を確認、整理し、後日、ご通院先のクリニックに持参していただく診断書作成依頼のセットに入れる参考資料を作るため、改めて、当事務所内でヒアリングを行いました。
そして、コミュニケーションに難がある状態が続き、ご家族の援助が無ければ、日常生活を送ることは到底できないことが明らかになっていきました。
頭脳は明晰な方で、かなりお困りごとが多い状況である中、服薬の管理について確認すると、
「そこは問題ありません。」と回答がありました。
それまで色々な点で「大変です。」「全く、できません。」というお話ばかりでしたが、ここは毅然とした答えでした。
実態や経過等から障害等級に該当する状態か、どうか
ご本人様がまとめた資料により、初診医療機関の窓口の方とも、すぐにやり取りが進み、受診状況等証明書の取得はスムーズでした。
診断書作成依頼のセットを整備、作成し、ご自宅に郵送し、後日、できあがった診断書等が当事務所に届きました。
内容を確認すると、フレイルティ症状、筋力低下も著明に認め、人間関係によるストレス等で就労に困難がある、という所見で、日常生活能力の程度等はご家族の援助が必要、という内容の診断書内容でした。
就労に困難があることが明確になっていたことから、このまま、病歴・就労状況等申立書を作成し、提出することとしました。
3か月ほど経ち、結果としては、障害厚生年金3級で受給権が発生していました。
一先ず、事後重症による請求で受給権が発生し、0(ゼロ)は無い、という状況となり、初診日から1年6か月時点の診断名はうつ病であり、お仕事もできず、休職されていたため、障害認定日時点の受給権発生の可能性を考慮し、ご本人様に状況を説明し、念のため、再度、書類を取得、整備し、障害認定日による請求も行いました。
ただ、こちらは、一時的な悪化、という理由で不支給決定となっています。
形式的な立場、一時的な状態ではなく
病名にもよりますが、形式的に経営者の方であっても、ご家族や周囲の方の援助の下で生活し、実態として、障害者雇用で就労されている方と変わらない、ということであれば、3級ですが、障害等級に該当する、ということになりました。
また、障害認定日の時点において、精神病としての病名が診断されていて、就労もできず、休職し、ご自宅に閉居せざるを得ない状態であったとしても、その前後で、複数の医療機関で、神経症圏の病名診断が続き、フルタイム勤務が可能な状態が長く維持できていた時期がある、という経過等があれば、一時的な悪化、という理由で、障害等級に該当せず、障害認定日の時点では受給権が発生しない、ということになりました。
障害等級の審査は、総合的に行われ、実態や経過等から、認められる場合と認められない場合があります。
数年後
数年後、この方は、更に症状が悪化する事態となり、当事務所にて、上位等級への改定請求(額改定請求)の手続きを受任し、障害厚生年金2級で支給が続くことになりました。
障害認定日による請求の方が不支給決定となった後も、長くお付き合いいただき、改めて、チャンスをいただいたことは、本当に感謝しています。
障害年金では、一見すると、障害等級に該当しないのでは?となる方でも、障害等級に該当したり、直近の状態よりもお困りごとが多い状態の時点で、障害等級に該当しなかったりします。
これからも、お一人お一人が受給できる障害年金の権利を最適な形で追求し、知識、知見を蓄積しながら、実態や経過等を十分に考慮して、ご提案の精度を上げていきたい、と思っています。

