2026年10月
神経症圏の病名での障害年金請求
障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
今回は、先日、作成したFAQを補足する意味で、お手続きした方の振り返りから、神経症圏の病名での障害年金請求、という題で書いてみます。
「今日、この事務所に来ようか、どうか、迷っていました。」
当事務所では、メールや郵送、お電話で手続きを完了する方も多いのですが、この方は、実際に当職に会って、色々な相談をしたい、というご希望があり、日程調整の後、ご来所いただきました。
当日、お会いし、ご挨拶してから、椅子に座っていただくと、開口一番、
「実は今日、家を出るまでに、この事務所に来ようか、どうか、迷っていました。」
というお話がありました。
日程を調整し、意気込んではみたものの、いざ出向く、という段階になると、何となく行きたくない、という気持ちになるそうです。
「〇〇しなければならない」という状況が辛く、ここ数年は、仕事に就く等、責任の伴うことは難しい状態が続いているということでした。
神経症圏の病名であること
以前、神経症について、短く記事を書いたことがあったのですが、こちらを読み、主治医の先生に診断されている社交恐怖症でも等級認定される可能性がある、ということを知って、問い合わせてみよう、と思われたそうです。
障害認定基準では、社交不安症、パニック障害、うつ状態、強迫性障害等、神経症の範疇とされるご病気については、原則、認定の対象外、となっています。
ご持参いただいた資料には、傷病手当金の支給を受けられた際に健康保険へ提出した申請書の写し、求職活動をされた際にハローワークに提出した書類の写し、現在までの経過をまとめたメモ等があり、内容も確認し、改めて、障害年金が受給できる可能性があると判断します、とお伝えしました。
そして、当日はご契約の後、具体的な手続き方針についてお話しし、日常生活状況等のヒアリングを行いました。
備考欄にて
障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領
~記載にあたって留意していただきたいポイント~
(中略)⑬備考
①「障害の原因となった傷病名」欄に神経症圏(ICD-10 コードが F4)の傷病名を記入した場合であっても、「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」または「気分(感情)障害」の病態を示しているときは、その病態とICD-10コードを記入してください。
念のため、こちらの記載要領の一部コピーと併せて、診断書作成依頼のセットを整備して、ご自宅に郵送し、後日、できあがった診断書については、病名は社交恐怖症となっていましたが、診断書の備考欄には、うつ病と同じ状態であることが分かる記載がありました。
内容として、精神病の病態を示している、ということが明確にされておりましたので、確認した時に、「これなら事務センターの方も審査がし易いだろうな」と感じたことを覚えています。
その後、請求書や病歴・就労状況等申立書を作成し、提出。障害厚生年金2級で受給権発生し、先日、1回目の更新も終わっています。
簡単には治らないご病気かもしれませんが、主治医の先生のご指導の下、前向きに過ごされているようです。
主治医の先生には正直に
本件は、ヒアリングさせていただいた治療経過等から、受給権発生の可能性を見出し、無事、結果に結びつきましたが、手続きにおいて、精神病の病態である等の主治医の先生のご判断は、障害年金の診断書を確認することで初めて明確に分かるものです。
定期的なご通院の中で、お辛かった出来事や普段の状況、状態等、何も話さずに過ごしてしまえば、適切な治療が進まず、診療録の内容も乏しい状態となり、主治医の先生が、精神病の病態か、どうか、わからず、診断書に、医学的なご判断について、詳細かつ具体的に記載できない、ということもあり得ます。
先日、「うつ病の障害年金では、診断書のどこが審査で重視されますか?」というFAQを作りましたが、信頼できる主治医の先生のご指導の下、普段の通院を通して、適切な形で治療が進んでいる方でなければ、認定の対象となる可能性は見えてこないのです。
主治医の先生に隠し事をしても何のメリットもありませんので、お体のためにも、ご病状等については、都度、お伝えください。
尚、原則的な取扱いから例外まで、色々な基準がありますが、その方に応じた形で、実際の手続きでは、ポイントを押さえながら進める必要がありますので、お困りの際は、専門家の活用をご検討ください。

