障害年金の審査請求(不服申立て×2、真の解決)

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。
障害年金は請求した後、決定された内容について、正当な処分が行われていない、と思われるときは不服申立て(審査請求)をすることができます。
今回は、障害年金の審査請求(不服申立て×2、真の解決)という題で書いてみたい、と思います。

これで障害等級3級?

数年前の火曜日でした。
障害年金の受給を希望しています、ということで、お問い合わせがあり、当事務所所定のご質問をさせていただきました。

お仕事ができない状態が続き、外出もできず、お食事や入浴等、パートナーに当たる方の援助を受けて生活している方でした。

神経症圏の診断名で治療されている期間は長い方でしたが、かなりの期間、お困りごとが多い状態が続き、直近のご病状については、相当重たい、と判断でき、十分、障害等級に該当する可能性がある旨、ご説明し、ご契約書等、ご自宅に郵送しました。

1週間後、ご署名、押印のある契約書等が、事務所に届き、手続きを開始しました。

詳しくヒアリングをさせていただくと、幼少期から、教育方針について、お父さんとお母さんの意見が違う、という状況の下で過ごされ、違和感を通り過ぎ、「どちらの言っていることが正しいか、分からなくなってしまった」という悩みを抱えながら、生きてきた方でした。

複数回の転院があり、治療歴が長いことから、初診医療機関、2番目、3番目…と、法令上の保存期間が過ぎていることにより診療録(カルテ)が破棄されている医療機関が続いてしまい(※)、書類の収集に、大分、時間がかかりましたが、手続きに万全を期すべく、可能な限り、資料を集めました。

併せて、障害認定日(初診日より1年6か月経過日から3か月以内)のカルテも破棄されていたため、障害認定日時点の診断書は取得できないことから、直近の症状による請求のみ、行うことになりました。

提出後、直近の症状に係る診断書内容は、かなり状態として重たい、というものでしたが、結果、障害等級3級となり、厚生年金保険加入期間中に初診日があった方でしたので、障害厚生年金のみ支給、ということになりました。

審査請求へ(不服申立て1回目)

障害等級3級=労働に制限を受けている、ということは認められ、ここは素直に受け入れることができましたが、日常生活が著しい制限を受けていることは評価されていない、という形であるため、正当な処分とは思えず、当事務所では、すぐに、不服申立て(審査請求)を行う方向で動き、ご本人様にも、その旨、お伝えし、審査請求用の委任状をいただき、手続きを進めました。

障害等級2級として、障害基礎年金も支給されるべき、という趣旨、理由をまとめ、関係書類を関東信越厚生局社会保険審査事務室宛に郵送し、結果を待ちました。

しかし、「原処分は、妥当であって、取り消すことはできない。(障害等級3級、という決定は誤っていない。)」という結論で決定書が届きました。

社会保険審査官の決定した内容は「請求人の日常生活は、援助を受けながらも一定程度維持されているとみるのが相当であり、日常生活が著しい制限を受けているとまで認めることは困難である。」とされていました。

再審査請求(不服申立て2回目)と同時に行った手続き

色々なことがありましたが、最初の障害年金請求から半年以上の時間が過ぎ、不服申立ての機会も、あと1回、再審査請求のみ、ということになり、これで請求の趣旨、理由が容認されなければ、裁判でもしない限り、障害等級3級、ということが決まってしまう状況となりました。

ここで改めて、関係書類を整備、作成しつつ、再度、日常生活状況等のヒアリングをさせていただいたところ、昨年よりご体調が悪化されている状況であることが分かり、上位等級への改定請求(額改定請求)も同時に行うことが望ましい、というご説明をして、仮に、再審査請求が棄却されたとしても、再審査請求後の時点からは、障害厚生年金と併せて、障害基礎年金が支給されるように手続きを進めることになりました。

後日、厚生労働省の社会保険審査会の公開審理に出席し、保険者側の人(つまり、日本年金機構の本部の人です。)と対面することになり、審査長からの質疑に応答しながら、準備書面に基づき、中立な立場の参与の方もいる中、障害年金を請求した時点の状況を詳しく説明し、結果(裁決書)を待つことになりました。

上位等級への改定

結果、再審査請求は棄却されましたが、額改定請求は認められ、障害厚生年金1級となりました。

再審査請求と同時に進めた「額改定請求」が活きた、ということになります。

本件については、障害等級3級で認定され、障害厚生年金のみ支給、という結果になってから、障害等級1級、障害基礎年金と障害厚生年金の支給、という着地まで、不服申立てをしながら、1年間、という時間を必要としました。

結果的に不服申立て(審査請求・再審査請求)は、認められることはありませんでしたが、動きながら打開策が見えることもあり、これで良かった、と感じています。

真の解決に向けて

額改定請求の結果が分かった後、少しだけ時間を置き、裁判沙汰までは望まない、というご意向の下、原処分は妥当、という決定を受け入れ、この方の新しい人生がスタートしています。

社会保険労務士として、できる限りのことはしました。

ご依頼いただいた方にとって、少しでもゆっくりと休むことができる環境が整い、新しい人生をスタートする、これが達成できたとき、真の解決に少しだけ近づく気がしています。

地味な作業ばかりが多い仕事ですが、皆様のお役に立てるよう、日々、努力しております。

何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。

※医師法 | e-Gov 法令検索(24条参照)

この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、350件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

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