労災と障害年金の支給調整

障害年金コンサルタント、社会保険労務士の中島です。

今回は、労災と障害年金の支給調整、という題で、書いてみたい、と思います。

(複雑になることを避けるため、国民年金法、厚生年金保険法における被保険者、労災保険法の適用労働者、業務起因性や業務遂行性等の個別のケース、通勤災害、休業補償給付との調整、船員保険等からの給付、療養開始後の期間、職権や請求の要素については、考慮しません。)

まず、労災保険法の傷病補償年金や障害補償年金(以下、労災保険法の障害年金)は、

1.業務上の事由による負傷、疾病、障害に対して、

2.労災保険法の傷病等級に該当する程度の障害の状態、もしくは障害等級に該当する程度の障害、にある場合、

に支給されます。

次に、国民年金法、厚生年金保険法の障害基礎年金、障害厚生年金(以下、障害年金)は、

1.納付要件を満たした方が、障害認定日の時期以降において、

2.国民年金法、厚生年金保険法の障害等級に該当する程度の障害の状態、にある場合、

に支給されます。

労災保険法の障害年金は、「納付要件を満たした方が、障害認定日の時期以降において」という条件は無く、「業務上の事由による負傷、疾病、障害に対して」という条件があり、障害年金では、「業務上の事由による負傷、疾病、障害に対して」という条件は無く、「納付要件を満たした方は、障害認定日の時期以降において」という条件があることがわかります。

どちらも、適正に条件を満たしていることが必要です。

そして、労災保険法の障害年金だけ、という場合や、障害年金だけ、という場合だけでなく、労災保険法の障害年金の条件と、障害年金の条件を併せて満たすことで、同時に支給されることもあります。

その場合、労災保険法の障害年金と、障害年金は、支給調整で関係しており

同時に支給される場合、労災保険法の障害年金の額は、

1.「12~27%の割合」で減額

2.「12~27%の割合」で減額された後、「調整後の、労災保険法の障害年金の額」と「障害年金の額」との合計が、「調整前の、労災保険法の障害年金の額」を下回る場合(つまり「調整前の労災保険法の障害年金の額の12~27%」より「障害年金の額」が少ない場合)は、調整前の労災保険法の障害年金額を最低保障する意味で、「障害年金の額」が減額

という形で、支給調整があります。

ここで大事なことは、支給調整(減額)は、障害年金の支給事由と同じ労災保険法の障害年金に対してなされるのであって、

 障害年金の支給事由と同じ労災保険法の一時金

 障害年金の支給事由と無関係の労災保険法の障害年金(※)

であれば、支給調整は無い、ということです。両方ともそのまま手元に残ります。

障害年金と併せて、様々なご勤務先での悩み事も、お問い合わせとしてあることは事実です。長時間労働やパワハラ、モラハラ等から、皆様、非常に苦労されていることがわかります。

労災保険は、「業務上」の要素が入ることから、障害年金とは別の基準で、認定手続きが行われています。

個別、具体的なケースは、労働基準監督署に、お問い合わせください。

※:「20歳前の傷病による障害基礎年金」を受給している方は、労災保険から年金給付を受けることとなった場合、障害年金の支給事由と同じか無関係かを問わず、支給は停止されます。(障害補償年金がその全額につき支給停止される場合を除き、障害補償年金前払一時金の支給を受けたことによる、障害補償年金が全額支給停止されている場合を含みます)

参考条文 

国民年金法

第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。

第三十六条の二 第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するとき(第二号及び第三号に該当する場合にあつては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、その該当する期間、その支給を停止する。

一 恩給法(大正十二年法律第四十八号。他の法律において準用する場合を含む。)に基づく年金たる給付、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であつて政令で定めるものを受けることができるとき。

二 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。

三 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。

四 日本国内に住所を有しないとき。

2 前項第一号に規定する給付が、その全額につき支給を停止されているときは、同項の規定を適用しない。ただし、その支給の停止が前条第一項又は第四十一条第一項に規定する給付が行われることによるものであるときは、この限りでない。

国民年金法施行令

(法第三十六条の二第一項第一号の政令で定める年金たる給付)

第四条の八 法第三十六条の二第一項第一号に規定する年金たる給付であつて政令で定めるものは、次のとおりとする。

一 恩給法(他の法律において準用する場合を含む。)による年金たる給付

二 地方公務員の退職年金に関する条例による年金たる給付

三 厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合が支給する年金たる給付

四 旧執行官法附則第十三条の規定による年金たる給付

五 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和二十五年法律第二百五十六号)に基づいて国家公務員共済組合連合会が支給する年金たる給付

六 互助年金廃止法附則第七条第一項の普通退職年金、互助年金廃止法附則第十一条第一項の公務傷病年金及び互助年金廃止法附則第十二条第一項の遺族扶助年金並びに旧国会議員互助年金法第二条第一項の互助年金

七 存続共済会が支給する年金たる給付

八 戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号。以下「遺族援護法」という。)による年金たる給付

九 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)による留守家族手当(同法附則第四十五項に規定する手当を含む。)

十 労働者災害補償保険法による年金たる保険給付

十一 船員保険法による年金たる保険給付(旧船員保険法による年金たる保険給付を除く。)

十二 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用する場合を含む。)による年金たる補償

十三 地方公務員災害補償法及び同法に基づく条例の規定による年金たる補償

十四 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和三十二年法律第百四十三号)に基づく条例の規定による年金たる補償

 

労働者災害補償保険法

第五十九条 政府は、当分の間、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つたとき身体に障害が存する場合における当該障害に関しては、障害補償年金を受ける権利を有する者に対し、その請求に基づき、保険給付として、障害補償年金前払一時金を支給する。

○3 障害補償年金前払一時金が支給される場合には、当該労働者の障害に係る障害補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法に従い当該障害補償年金前払一時金の額に達するまでの間、その支給を停止する。

○6 障害補償年金前払一時金の支給を受けた者に支給されるべき障害補償年金の支給が第三項の規定により停止されている間は、当該障害補償年金については、国民年金法第三十六条の二第二項(省略)、児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八号)第十三条の二第二項第一号ただし書並びに特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和三十九年法律第百三十四号)第三条第三項第二号ただし書及び第十七条第一号ただし書の規定は、適用しない。

この記事を書いた人

中島 孝周(なかじま こうしゅう)

聖学院高等学校、青山学院大学経済学部経済学科卒業
団体職員、都内社会保険労務士事務所勤務を経て、「障害年金の魅力を伝え、多くの人に安心を届けたい」という願いから、2018年11月、「精神」「知的障害」の分野を専門として、障害年金業務に特化した「こうしゅう社会保険労務士事務所」を開業。

現在までに、「精神」「知的障害」の分野のみで、200件以上の請求代行実績がある。

1980年8月2日 栃木県小山市出身
家族:妻 長男

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